日本臨床免疫学会会誌
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17 巻, 1 号
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  • 崎山 幸雄
    1994 年17 巻1 号 p. 1-6
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
  • 今井 史彦, 鈴木 輝彦, 石橋 俊子, 片桐 敏郎, 秋山 雄次
    1994 年17 巻1 号 p. 7-14
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    樹状細胞(DC)はsuboptimal Con-A応答において補助細胞として働く.今回われわれは慢性関節リウマチ(RA)患者末梢血のDC機能について検討を加えた. RA患者末梢血DCは樹枝状突起を有していた.表面マーカーの検索ではHLA-DR抗原とC3 bi-レセプターが陽性であった.
    RA患者におけるDCをACとして用いたsuboptimal Con-A応答は正常人に比して有意に低値を示した.この結果がDCのAC活性に異常があるためか, T細胞側に異常があるためか検討するためアロの系でreconsitution実験を行った. RA患者T細胞は正常人DCをACとして用いればsuboptimal Con-A応答は障害されていなかった.一方・正常人T細胞を応答細胞としRA患者DCをACとして用いた場合suboptimal Con-A応答は低値にとどまった.このことはRA患者DCになんらかの機能異常の存在することを示唆している.
  • 西浦 正芳, 土田 哲雄, 東野 一彌
    1994 年17 巻1 号 p. 15-24
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    内因性のLAK細胞誘導を目標とした免疫療法を施行するうえで,阻害的に働く可能性のあるTGF-βについて, in vitroにおけるヒトLAK細胞誘導に対する抑制機構に焦点を当てて解析を行い,以下の結果を得た.(1) TGF-βは, IL-2によるLAK細胞誘導過程に,濃度依存性の抑制作用を示したが, LAK細胞による細胞傷害活性発現の過程には,まったく抑制を示さなかった.(2) 3カラーフローサイトメトリー法により, CD3- CD 16+ NK細胞表面上のIL-2Rの発現を検討したところ, TGF-β添加群では, NK細胞上に恒常的発現を示すIL-2Rβ鎖の発現は抑制されず, α鎖のみの選択的抑制であることが示された.(3) 細胞表面より遊離されたIL-2Rα鎖と考えられる可溶性IL-2Rを測定したところ, TGF-β添加群で著明に抑制されていた.したがって, α鎖の細胞内での産生そのものが抑制されていることが確認された.
  • 舛谷 治郎, 辻崎 正幸, 今井 浩三
    1994 年17 巻1 号 p. 25-36
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    治療応用を展望して, 1次構造が決定しているCEA合成ペプチドから作製された抗CEAモノクローナル抗体(MoAb) P 1-356を用い, CEAペプチドに対し内部イメージを有する抗イディオタイプ(Id)抗体の作製を目指した.その結果,得られた抗Id MoAbは4種の群に分けられた.その中でM 315 (Ab 2)より誘導されたポリクローナル抗・抗Id抗体(Ab 3)は, CEAとの反応性, Ab 1とCEAの結合に対する競合性の検討より, “Ab1 like Ab3”の候補と考えられた.そこで,抗Id MoAb M 315を同系免疫して抗・抗Id MoAbを作製した.その中で, 11 B 2 (Ab 3)はAb1とCEAとの結合を競合阻止し,かつ精製CEAのみならず, CEAの合成ペプチドにも反応した.さらに免疫組織染色でもAb 1と類似した染色パターンを示した.以上の成績よりMoAb 11B2は “Ab1 like Ab3”であることが示された.すなわち,抗ld MoAb M 315 (Ab 2)は, CEAのinternal imageを有する抗体であることが示唆された.
  • 浜田 欣哉, 蓑田 正豪
    1994 年17 巻1 号 p. 37-44
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)症例10例(初発例5例,増悪例5例)について患者血清中の抗DNA抗体に対する抗イディオタイプ(Id)抗体活性を測定し,臨床検査所見と対比した.自己の抗DNA抗体に対しては,全例非活動期において抗Id抗体活性を認めた.非自己の抗DNA抗体に対しては,初発例では全例に,増悪例では5例中3例に非活動期に抗Id抗体活性を認めた.また,ヒトモノクローナル抗DNA抗体であるNE-1に対しても初発例では5例中3例に,増悪例では4例中3例に,非活動期に抗Id抗体活性を認めた.自己の抗DNA抗体に対しては全例に非活動期に抗Id抗体活性を認めていることから,血清中の抗Id抗体は疾患活動性と逆の相関を示した.これらの結果から抗Id抗体は免疫調節系において重要な役割を担っているものと考えられた.一方,非自己の抗DNA抗体に対しても,非活動期に高率に抗Id抗体活性を認めていることから, SLEでは高率にcross reactive idiotype (CRI)をもった抗DNA抗体が出現することが推測された.
  • 金井 秀夫, 三橋 秀基, 小野 久米夫, 矢野 新太郎, 成清 卓二
    1994 年17 巻1 号 p. 45-51
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(以下SLE) 10名,巣状糸球体硬化症(以下FGS) 8名, IgA腎症(以下IgAN) 9名,および膜性腎症(以下MN) 6名に対して,ヒトTGF-beta1+2+3に対するモノクローナル抗体を用いたELISA法にて,尿中TGF-betaの測定を行った.健常人の尿中TGF-betaが46.9±43.9ng/mgCrであるのに対して, SLE患者では96.4±58.2ng/mgCr, FGS患者では555.5±458.4ng/mgCr, IgAN患者では54.1±37.4ng/mgCr, MN患者では24.8±13.3ng/mgCrであった. FGS患者の尿中TGF-betaは,健常人と比較して有意に(p<0.05)高値であった.またSLE患者では健常人に比べて高値である傾向を示し,逆にMN患者では低値を示す傾向があった.一方, IgAN患者は健常人と差がみられなかった.このことからTGF-betaがヒトの腎炎においても,糸球体内の細胞増殖に対しては抑制的に働き,糸球体内のECM代謝に対しては蓄積を促進するように働いている可能性が示唆された.
  • 齋藤 祐子, 井上 勝一, 袁 嵐, 中島 収
    1994 年17 巻1 号 p. 52-59
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    OK-432の健常人単球に対する作用を(1)貧食能,(2) TNF-αやGM-CSFの産生,(3)これらのサイトカインの白血球過酸化水素産生能に及ぼす影響についてELISA法やフローサイトメトリーを用いて勿 in vitro で検討した.結果: 1) 健常人単球はOK-432を1時間以内に貪食したが,そのときはTNF-αやGM-CSFの産生はほとんどなかった. 2) 培養開始3時間後にTNF-αの産生が,培養開始6時間後からGM-CSFの産生が増加した. 3) TNF-αとGM-CSFの産生はピーク時間の異なった分布を示した.またGM-CSFの産生量はTNF-αに比較して極めて低かった. 4) rhTNF-αもrhGM-CSFも健常人白血球に過酸化水素を産生させたが, OK-432刺激により単球が産生したTNP-α量は好中球に過酸化水素を産生させるのに十分であったが, GM-CSFの量はそのまま過酸化水素を産生させるには量的に少なく,サイトカインネットワークに利用されるものと考えられた.
  • 佐藤 忠嗣, 若林 芳久, 平澤 晃, 西川 哲男, 千葉 省三
    1994 年17 巻1 号 p. 60-65
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は17歳,男性.貧血, LDH高値のため9月4日当科へ紹介入院となった.末梢血液検査,生化学検査および骨髄穿刺所見よりEvans症候群と診断し,プレドニゾロン(PSL) 40mg/day投与を開始したところ,投与6日目に38°Cの発熱が認められ,血液よりgroup O9 Salmonellaが検出された.便培養は陰性で検出菌の血清型はVi (-), O-9, H-gでS. enteritidisと同定した. Amikacin sulfate (AMK), fosfomycin (FOM)投与で下熱したがPlt 4.3×104lと低下したため,メチルプレドニゾロンパルス療法を施行したところ再燃を認めaztreonam (AZT), cefoperazone sodium (CPZ)投与で治癒した.近年,健康保菌者の増加が指摘されており,基礎疾患やその治療により免疫能の低下が想定される症例では,非チフス性サルモネラ属菌による菌血症の発症を考慮しておく必要があると考えられた.
  • 神谷 康司, 中林 公正, 有村 義宏, 鈴木 道彦, 簑島 忍, 長沢 俊彦
    1994 年17 巻1 号 p. 66-71
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    肺内に好酸球の浸潤を認めた好酸球性筋膜炎(EF)の1例を経験した.症例は23歳,女性.急性上気道炎症状後に両上下肢の腫脹,疼痛を認めた.末梢血好酸球増多,筋膜生検で筋膜の肥厚と単核球および好酸球の浸潤を認め, EFと診断した.胸部X線は軽度の網粒状影を認めるのみで,呼吸機能検査では異常所見を認めなかったが,経気管支肺生検(TBLB)にて肺胞中隔・肺胞内に著明な好酸球の浸潤を認めた.ステロイド内服にて軽快した. EFは肺障害などの内臓病変を示さないとされているが,今までに肺障害について詳細に検討された症例の報告は少ない.本例は, EFでも肺内好酸球浸潤を認める可能性を示唆する貴重な症例と思われた.
  • 長谷川 尚, 三浦 義明, 中野 正明, 荒川 正昭
    1994 年17 巻1 号 p. 72-76
    発行日: 1994/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    シェーグレン症候群,レイノー現象,抗セントロメア抗体陽性を呈したC7補体欠損症を報告した.
    症例は54歳,女性.昭和55年,レイノー現象を認め, 61年,口渇,目の乾きが出現した.検査の結果,乾燥性角結膜炎,白血球減少,抗核抗体陽性,抗セントロメア抗体陽性,抗DNA抗体軽度上昇,血清補体価の著しい低下が認められた.抗セントロメア抗体陽性と血清補体価低値は持続した.その後,補体蛋白の精査により, C7欠損症が判明した.
    これまで, C7欠損症に発症したリウマチ性疾患としては, SLE 2例,慢性関節リウマチ1例,強直性脊椎炎1例, CREST症候群1例が報告されているにすぎない.本例において,レイノー現象,シェーグレン症候群,抗セントロメア抗体の出現とC7欠損との関連は明らかではないが,このような症例の蓄積が必要であると考えられた.
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