日本臨床免疫学会会誌
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全身性エリテマトーデス患者血清中の抗血小板抗体に関する研究
石川 章岡田 純近藤 啓文
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1995 年 18 巻 1 号 p. 20-28

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抄録

全身性エリテマトーデス(SLE)の血小板減少に特定の血小板膜抗原に対する自己抗体の存在は明らかでなく,血小板減少との関連性を示す詳細な検討もない,そこで, SLE患者血清中の抗血小板抗体の検出をimmunoblot法で試み血小板減少症およびSLEの臨床像との関連を検討した. SLE 65例の活動期保存血清を用いて検討した.血小板抗原は,健常人より,比重遠心法で血小板を分離し,血小板膜分画を得,抗原とした.抗血小板抗体は, SLE 65例中19例(29.2%)に検出された.コントロール群のRA 16例, PSS 16例, PM-DM 2例,健常人10例では全例陰性であった. SLE血清は, 200kDa, 145kDa, 120kDa, 95kDa, 80kDa, 65kDaの6種類の血小板蛋白抗原と反応した.抗95kDa血小板抗体が8例(12.3%),抗80kDa血小板抗体が11例(16.9%)と比較的高率で,この2抗体は, SLEの臨床像との関連性は見いだせなかったが,健常人の血小板膜抗原による吸収試験が陽性で,血小板膜蛋白成分に対する特異的抗体と考えられた.
Immunoblot法では, SLE患者には抗血小板抗体が比較的高率に検出され,特異的な抗血小板自己抗体の存在が示唆された.

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