日本臨床免疫学会会誌
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18 巻, 1 号
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  • 山本 一彦
    1995 年 18 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
  • 野村 昌作, 鈴木 正彦, 三宅 哲也, 宮崎 泰彦, 木戸 洋文, 香川 英生, 柳父 睦政, 福原 資郎
    1995 年 18 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者57例における血清可溶性インターロイキン2レセプター(sIL-2R)について測定した. ITP患者の血清sIL-2R濃度は, 176.2±66.9 U/ml (mean±SD)であり,健常者(481.3±378.5 U/ml)に比べ有意に高値であった(p<0.001).今回対象としたITP症例のうち, 8例はC型肝炎ウイルス(HCV)抗体陽性であり,それらのsIL-2R濃度は,著明な高値を示した(1.140.7±194.3 U/ml).しかし, HCV抗体陰性のITP症例49例のsIL-2R濃度もやはり高値であり(378.9±278.6 U/ml),健常人との間には,統計的にも有意差が認められた(p<0.01). ITP患者のsIL-2R濃度と血小板表面免疫グロブリン(PAIgG)との間には,有意な相関は認めなかったが, sIL-2R濃度とCD4/8との間には,有意な逆相関の関係がみられた(p<0.05).これらの結果より, ITPの病態とsIL-2R濃度上昇との間に,免疫学的な関連性が存在する可能性が示唆された.
  • 石川 章, 岡田 純, 近藤 啓文
    1995 年 18 巻 1 号 p. 20-28
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)の血小板減少に特定の血小板膜抗原に対する自己抗体の存在は明らかでなく,血小板減少との関連性を示す詳細な検討もない,そこで, SLE患者血清中の抗血小板抗体の検出をimmunoblot法で試み血小板減少症およびSLEの臨床像との関連を検討した. SLE 65例の活動期保存血清を用いて検討した.血小板抗原は,健常人より,比重遠心法で血小板を分離し,血小板膜分画を得,抗原とした.抗血小板抗体は, SLE 65例中19例(29.2%)に検出された.コントロール群のRA 16例, PSS 16例, PM-DM 2例,健常人10例では全例陰性であった. SLE血清は, 200kDa, 145kDa, 120kDa, 95kDa, 80kDa, 65kDaの6種類の血小板蛋白抗原と反応した.抗95kDa血小板抗体が8例(12.3%),抗80kDa血小板抗体が11例(16.9%)と比較的高率で,この2抗体は, SLEの臨床像との関連性は見いだせなかったが,健常人の血小板膜抗原による吸収試験が陽性で,血小板膜蛋白成分に対する特異的抗体と考えられた.
    Immunoblot法では, SLE患者には抗血小板抗体が比較的高率に検出され,特異的な抗血小板自己抗体の存在が示唆された.
  • 鏑木 淳一, 桑名 正隆, 秋月 正史, 高野 愼, 東條 毅
    1995 年 18 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    全身性強皮症(SSc: systemic sclerosis)のレイノー現象に対して,経口PGI2誘導体であるberapro〓sodium (BS)の有用性を調べ,有効例の臨床特徴を明らかにすることを目的とした. SSc 30例を対象とし〓BS 60μg/日あるいは120μg/日を, 15.0±12.5 (4~40)週投与し,レイノー日記によるアンケート調査およ〓患者評価,身体所見,検査結果を追跡調査した. 14例(47%)が,有効と判定された.副作用として,頭重〓が1例に認められたが,薬剤投与中止後,軽快した.有効例に特徴的な抗核抗体は,見いだされなかった.有〓例では,不変・悪化例に比べ,爪郭部点状出血の頻度が少なかった.また,有効例では,レイノー現象の出現〓囲が近位指節間関節より遠位に限局する症例,随伴症状として痛みが軽度以下である症例の頻度が多かった.〓上の成績から, BSはSScにおけるレイノー現象の軽症例に有効であることが示唆された.
  • 楊 逢春, 藪原 明彦, 小池 健一, 小宮山 淳
    1995 年 18 巻 1 号 p. 36-44
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    小児血球貧食症候群(HPS)におけるナチュラルキラー(NK)細胞の異常を解析するため,本症候群の13例において末梢血中のNK細胞の数,細胞傷害機能およびサイトカインに対する反応性を検討した. CD16+細胞は,活動期において3例で相対的な減少がみられた. 51Cr遊離試験にて測定したNK活性は活動期に6例で低下し,他の7例では正常であった. Lymphokine-activated killer (LAK) 活性はNK活性と同様の傾向がみられた.活動期のNK細胞はIL-2には良好に反応したが, IFN-γに対する反応性が欠如していた. Single-elllevelでは,活動期にリサイクリング能の低下があり,寛解期において溶解能の低下を認めた.以上の結果から, HPS患児のNK機構には多様な異常がみられ,特に活動期におけるIFN-γに対する反応性の欠如とリサイクリング能の障害が特徴的であると考えられた.また, NK細胞の溶解能の異常が長期に及ぶ可能性が示唆された.
  • 橋本 通, 神宮 政男, 江崎 一子, 吉河 康二, 延永 正
    1995 年 18 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    過去18年間に当科で経験した成人発症Still病(AOSD) 14例について,その臨床像を検討した.男女比は1:1で,男性例の平均発症年齢は26.6±8.3歳,女性例は30.6±13.9歳であった.高熱と関節炎は100%に認められ,肝風,脾腫,リンパ節腫脹が症例の50%にみられた.皮疹は85.7%にみられ,定型的皮疹と診断されたものは64.3%であった.胸膜炎,心膜炎,神経症状は7.1%に認められた.症例の57.1%に咽頭痛が出現した.経過中に50%が腹痛を訴え,続発性アミロイドーシスの合併が14.3%に認められた. Sjögren症候群の合併が14.3%に,頸椎の狭小化が28.6%に認められ,過去に報告されている以上にこれらの合併率が高かった.また血清中の可溶性interleukin-2 receptorレベルを検討したところ,健常者との比較で有意に高値を呈し, AOSDにおいても臨床的パラメーターとなり得ることが示唆された.
  • 鈴木 厚, 関山 菜穂, 小井戸 則彦, 大曾根 康夫, 美田 誠二, 松岡 康夫, 入交 昭一郎
    1995 年 18 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE) 193例(男性17例,女性176例)を対象にSLEの肝障害について検討した.肝障害は各患者の初診時からの全経過を調べTransaminaseが40IU/ml以上を認めた症例とした. SLE193例中78例(40.4%)に肝障害を認めた. Transaminase 1回のみの異常例では全例(34例)肝障害の原因は不明であった. Transaminase 2回以上高値例では44例中35例(79.5%)に確定診断を得た.肝障害の原因として原病によるものが12例と最も多く,ついで脂肪肝の9例であった.ウイルス性肝炎としてA型肝炎2例, B型肝炎2例, C型肝炎1例を認めた.自己免疫性肝疾患は3例で,自己免疫性肝炎2例,原発性胆汁性肝硬変1例であった.その他,胆石/胆嚢炎3例,薬物性肝障害(アスピリン1例,抗生剤1例) 2例,風疹による反応性肝障害1例を認めた.肝関連抗体については130例について検討し,抗平滑筋抗体は自己免疫性肝炎で1例陽性,抗ミトコンドリア抗体は原発性胆汁性肝硬変で1例陽性であった.
  • 辻 光次朗, 椿 和央
    1995 年 18 巻 1 号 p. 60-69
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    健常人末梢血単核細胞peripheral blood mononuclear cellsと放射線照射された多発性骨髄腫の骨髄単核細胞bone marrow mononuclear cellsを10日間混合培養することによって, natural killer(NK)細胞が増殖することを見いだした.培養10日目のNK細胞は9.5倍増加したが, T細胞は増加しなかった.そして10日間培養した細胞から90%以上純粋なNK細胞を取り出し検討したところ, IL-2添加によって増殖傾向を認め, antibody coated erythrocyte (EA)添加では抑制効果を示した.さらにこられのNK細胞単独ではIFN-γの産生は認められなかったが, EA添加群においては強いIFN-γの産生を認めた.次にNK細胞活性を検討したところ,取り出したNK細胞はK 562とDaudi細胞に対して強い活性を示し,それはさらにIL-2添加によって増強された.本研究の結果は,多発性骨髄腫の骨髄には既知のものではないNK細胞増殖能をもったサイトカインが存在する可能性が示唆された.
  • 阿部 敬, 今井 浩三, 得能 徹也, 矢和田 敦, 佐々木 茂, 林 敏昭, 黒河 聖, 松永 隆裕, 酒井 基, 石田 禎夫, 米沢 和 ...
    1995 年 18 巻 1 号 p. 70-75
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,男性. 1987年3月より両足関節痛,腫脹および両手指関節の朝のこわばりが出現し,他院でNSAIDの投与を受けていた. 1990年5月より慢性骨髄性白血病(CML)として併せて加療を受けていた. 1991年3月多発関節痛が悪化し当科に入院した.歩行困難, 6週間以上の関節症状,皮下結節およびX線写真所見よりStage I, Class 2の慢性関節リウマチ(RA)と診断した.末梢血,骨髄像,フィラデルフィア染色体およびbcr再構成よりCMLの合併も確認した. 5月,インターフェロン(IFN)使用3日後より高熱および呼吸困難が出現し肺炎を疑った.ステロイド大量療法および抗生物質の投与により軽快・改善し,ステロイドを漸減し7月退院した.
    CMLを合併しIFNを使用したまれなRAの1例と考え,若干の考察を加え報告した.
  • 藤本 陽子, 荒井 完周, 石田 和之, 横田 隆徳, 柳沼 将公, 村瀬 弘
    1995 年 18 巻 1 号 p. 76-82
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    52歳時より慢性関節リウマチにて通院加療中の60歳の女性で,両下肢の筋力低下および有痛性筋痙攣,第6胸髄以下の表在覚・深部覚障害,排尿障害が生じ,横断性脊髄炎と診断された1例を経験した.乾燥性角結膜炎,口腔乾燥症の存在を認め, Sjögren症候群と診断された.さらに血中より抗神経抗体が証明された.皮疹,発熱等全身の血管炎を疑わせる所見はなく,抗核抗体,抗カルジオリピン抗体,ループスアンチコアグラントは陰性であった.横断性脊髄炎を呈したSjögren症候群の報告は国外では数例あるが本邦ではなく,その病態に関してもSjögren症候群との関連が明確にされたものはない.血管炎に基づくとする説や,自己抗体による直接作用が原因とする説などがある.本例においては神経系に対する液性抗体の関与を考えた.
  • 谷本 一樹, 中村 稔, 岡田 薫, 長沢 浩平, 仁保 喜之
    1995 年 18 巻 1 号 p. 83-89
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は22歳女性. 19歳時,多関節痛,朝のこわばりが出現,慢性関節リウマチ(RA)と診断された. Prednisolone,経口金剤,非ステロイド性消炎鎮痛剤などの投薬にてコントロールされていたが, RA発症1年8カ月後より,下痢,蛋白尿が出現し当科入院.入院時, CRP 2.7mg/dl,赤沈値26mm/hr, RF 55IU/mlで多関節痛, 1日2~3回の下痢および蛋白尿(0.3g/day)を認めた. Prednisolone 5mg/dayにMethotrexate 7.5mg/weekを併用し,多関節痛,炎症所見は徐々に改善したが,下痢,蛋白尿は改善しなかった.胃・直腸および腎生検を施行し,いずれの臓器にもAA型アミロイドの沈着を認め,続発性アミロイドーシスと診断した. RAに続発性アミロイドーシスが合併することはよく知られているが,本症例のごとく, RA発症後約1年8カ月という短期間でアミロイドーシスを併発した症例は,われわれの検索しえたかぎりでは他に報告例がない.一般に,アミロイドーシスを合併したRAの予後は不良のため,今後本症例を念頭におき,アミロイドーシスの早期診断に努めるとともに,アミロイドーシスを合併しやすい症例においては,より厳格なRAのコントロールが必要と思われる.
  • 高橋 道雄, 岡田 純, 入澤 彰仁, 近藤 啓文
    1995 年 18 巻 1 号 p. 90-97
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    本例は41歳女性のSLE. 1978年より関節痛, 1986年39°Cの発熱,胸膜炎および精神症状を呈し,検査では抗核抗体陽性, LE細胞現象陽性,低補体血症, Iupus anticoagulant (LA)陽性,心臓超音波上MsRが認められた. SLEの診断でPrednisolone 50mg/日を投与し寛解した. 1989年より息切れが出現し,重症のMSと診断.同時に肺梗塞, LA陽性の抗リン脂質抗体症候群(APS)の合併と診断された.僧帽弁狭窄の人工弁置換術が行われ,病理所見よりLibman Sacks endocarditis (LSE)に基づく僧帽弁狭窄症と診断された. SLEやAPSに伴う弁膜病変では,左心系の閉鎖不全が多いが,僧帽弁狭窄症はまれである.本例は,抗リン脂質抗体を伴ったSLEにLSEに基づく僧帽弁狭窄症を証明しえた貴重な症例で,その発症に抗リン脂質抗体の関与も示唆された.
  • 平澤 晃, 若林 芳久, 佐藤 忠嗣, 西川 哲男, 千葉 省三
    1995 年 18 巻 1 号 p. 98-103
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,女性. 1992年7月動悸を主訴に来院.著明な貧血と好中球減少を認め入院となった.骨髄は正形成で赤芽球系細胞が著減していた.末梢血リンパ球のうち16%は顆粒リンパ球であったが,表面マーカーの解析ではT細胞性が疑われたが,リンパ球遺伝子解析ではTCRα, βの再構成はみとめられなかった.好中球減少を伴った赤芽球癆と診断し,プレドニゾロン(PSL)投与により好中球数は増加したものの貧血の改善は得られず,シクロフォスファミド(CPM)を経口投与したところ顆粒リンパ球の減少とともに貧血の改善が得られた.本例の原因として,リンパ球のclonalityは証明されていないが末梢血中の顆粒リンパ球の関与が疑われた.しかしPSLの投与により,好中球減少は早期に改善し,のちにCPMの投与により貧血の改善が得られたことより,それぞれの発症機序が異なる可能性も考えられた.
  • 鈴木 憲明, 牛山 理, 大田 明英, 山口 雅也
    1995 年 18 巻 1 号 p. 104-109
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    側頭動脈炎(TA)診断の約2年後,悪性腫瘍を発症した2例を経験した.
    症例1.は, 79歳の女性.頭痛,血沈亢進を認め,側頭動脈生検よりTAの診断を得た.非ステロイド抗炎症薬にて軽快したが,約2年後,子宮頚癌を発症し死亡した.
    症例2.は, 69歳の女性.リウマチ性多発筋痛症,頭痛,血沈亢進に加え,側頭動脈生検によりTAの診断を得た.プレドニゾロンにて軽快し,漸減後中止できたが,約2年後,急性骨髄性白血病を発症した.
    当科で経験したTAの3例のうち,側頭動脈生検にて明らかな巨細胞動脈炎の組織像をもつ2例がいずれも悪性腫瘍を発症したことから, TAにおける悪性腫瘍発症の危険性が注目された.
  • 金井 恵美子, 宮澤 啓介, 桑原 三郎, 吉川 治, 外山 圭助, 押味 和夫
    1995 年 18 巻 1 号 p. 110-115
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は57歳男性,人間ドックにて高γグロブリン血症を指摘され,精査目的のために入院となった.初回入院時は,高γグロブリン血症(IgG 2,662mg/dl, IgA 422mg/dl)を除くその他の検査では異常が検出されなかったが,その7カ月後には血小板減少症を併発.末梢血リンパ球にてCD 413.4% (200/μl)と低下しCD 4/CD 80.19と逆転を認めた.またHIV抗体陽性より,血小板減少および高γグロブリン血症はHIV感染の合併症と診断された.血小板数は2×104lまで一過性に低下をきたしたが,無治療にて16×104l前後に改善し,現在診断後4年を経過した時点で良好なPerformance Statusが維持されている.また,本症例における血小板の変動とPAIgGおよび血清γグロブリン値には有意な相関は認められなかった.総合健診でしばしば遭遇する高γグロブリン血症において,特に血小板減少を伴うとき, HIV感染者も念頭に入れて検索を進める必要性が示唆された.
  • 諏訪 昭, 川合 眞一, 平形 道人, 中村 有邦, 稲田 進一
    1995 年 18 巻 1 号 p. 116-122
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    64歳女性慢性関節リウマチ(RA)患者に対して,疾患修飾性抗リウマチ薬としてサラゾスルファピリジン(SASP)が投与され, 2カ月後RAは寛解状態になった. SASP開始6カ月後,全身倦怠感を主訴として入院となった.末梢血液検査で高度の汎血球減少,骨髄穿刺・生検上有核細胞数の著減,三系統の造血細胞の減少がみられ,再生不良性貧血と診断した.薬剤性骨髄障害を疑い服用薬剤をすべて中止したが,末梢血液検査所見の回復はみられなかった.蛋白同化ステロイド剤やヒト顆粒球コロニー刺激因子製剤に反応せず,対症療法として赤血球輸血・血小板輸血をつづけている.
    SASPによる再生不良性貧血の報告は,潰瘍性大腸炎患者でみられるが, RA患者での報告はこれまでない.重篤な病態であり注意すべきと考え報告した.
  • 高村 昇, 江口 勝美, 右田 清志, 塚田 敏昭, 溝上 明成, 折口 智樹, 長瀧 重信, 泉 雅浩, 中村 卓
    1995 年 18 巻 1 号 p. 123-132
    発行日: 1995/02/28
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    肺門部リンパ節腫脹,間質性肺炎,間質性腎炎を合併したSjögren症候群の男性症例を経験した.症例は60歳男性で, 57歳時人間ドックで高γグロブリン血症を指摘された.主訴は全身倦怠感と発熱で当科に入院した.胸部X線とCT検査で肺門部リンパ節腫脹と間質性肺炎の所見が得られた.入院9カ月前より両眼ぶどう膜炎あり,サルコイドーシスが疑われたが, ACE, リンパ節生検と肺生検から否定された.高γグロブリン血症と抗核抗体陽性からSjögren症候群が疑われたが,眼・口腔乾燥症状はなかった. Schirmerテストとrose bengalテスト陽性から乾燥性角結膜炎があり,小唾液腺生検では単核球の著しい浸潤が認められた.
    耳下腺MRI所見では, T1およびT2強調画像で多数の点状の高信号域のため不均一となっており,耳下腺組織の破壊が高度で脂肪変性をきたしていると診断した.
    腎生検所見では間質・尿細管の病変が著明でいわゆるtubulo-interstitial nephritisを示した.
    本症例は男性で潜在型Sjögren症候群であり,耳下腺MRI所見が本症の診断に有用であった.本検査は侵襲が少なく, Sjögren症候群の診断法の1つとして繁用されることが期待される.
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