抄録
健常人末梢血単核細胞peripheral blood mononuclear cellsと放射線照射された多発性骨髄腫の骨髄単核細胞bone marrow mononuclear cellsを10日間混合培養することによって, natural killer(NK)細胞が増殖することを見いだした.培養10日目のNK細胞は9.5倍増加したが, T細胞は増加しなかった.そして10日間培養した細胞から90%以上純粋なNK細胞を取り出し検討したところ, IL-2添加によって増殖傾向を認め, antibody coated erythrocyte (EA)添加では抑制効果を示した.さらにこられのNK細胞単独ではIFN-γの産生は認められなかったが, EA添加群においては強いIFN-γの産生を認めた.次にNK細胞活性を検討したところ,取り出したNK細胞はK 562とDaudi細胞に対して強い活性を示し,それはさらにIL-2添加によって増強された.本研究の結果は,多発性骨髄腫の骨髄には既知のものではないNK細胞増殖能をもったサイトカインが存在する可能性が示唆された.