日本臨床免疫学会会誌
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抗リン脂質抗体陽性の全身性エリテマトーデス患者にみられた僧帽弁狭窄症(MS)の1例
高橋 道雄岡田 純入澤 彰仁近藤 啓文
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1995 年 18 巻 1 号 p. 90-97

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抄録
本例は41歳女性のSLE. 1978年より関節痛, 1986年39°Cの発熱,胸膜炎および精神症状を呈し,検査では抗核抗体陽性, LE細胞現象陽性,低補体血症, Iupus anticoagulant (LA)陽性,心臓超音波上MsRが認められた. SLEの診断でPrednisolone 50mg/日を投与し寛解した. 1989年より息切れが出現し,重症のMSと診断.同時に肺梗塞, LA陽性の抗リン脂質抗体症候群(APS)の合併と診断された.僧帽弁狭窄の人工弁置換術が行われ,病理所見よりLibman Sacks endocarditis (LSE)に基づく僧帽弁狭窄症と診断された. SLEやAPSに伴う弁膜病変では,左心系の閉鎖不全が多いが,僧帽弁狭窄症はまれである.本例は,抗リン脂質抗体を伴ったSLEにLSEに基づく僧帽弁狭窄症を証明しえた貴重な症例で,その発症に抗リン脂質抗体の関与も示唆された.
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