抄録
遊離型免疫グロブリンL鎖free light chain (FLc)はB細胞腫瘍,腎機能障害,慢性関節リウマチ,肺結核, sarcoidosis, AL amyloidosisなどの患者の血液または尿に過剰に検出されている.これまで免疫グロブリンL鎖はアミロイド前駆物質の一つとして注目されてきたが,最近ではlight chain deposition diseaseの独立した疾患としての概念も提唱されている.適切なFLc定量法が望まれるこのような状況において,今回われわれは市販の抗ヒトFLcポリクロナール抗体を用いてTIA nephelometryによるFLc定量測定を検討した.希釈直線性,同時および日差再現性,添加回収試験でほぼ満足すべき結果を得,さらに健康成人60名の血清FLc濃度を測定してFLc κ: 0.71mg/dl, FLc λ: 0.50mg/dl(平均値)を得た.この測定法はFLcの血中動態を追跡するのに有用である.