日本臨床免疫学会会誌
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薬剤性溶血性貧血および無顆粒球症を同時期に発症した1例
佐藤 修司高橋 徹林 敏昭岡田 至全得能 徹也安達 正晃日野田 裕治遠藤 輝夫今井 浩三
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1996 年 19 巻 5 号 p. 498-504

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抄録
症例は27歳,女性. PL®とCefadroxilを10日間服用したところ,重篤な貧血が起きたため近医に入院した.病歴および検査所見により,薬剤起因性溶血性貧血と診断された.濃厚赤血球の輸血と被疑薬の内服中止により貧血は改善したが,入院後4日目より顆粒球減少症が進行した.骨髄穿刺にて骨髄球系細胞の著減が認められた.患者は当科に転入院となり,清潔区域に隔離され, PrednisolonおよびG-CSFの投与を行ったところ,致命的な感染症に罹患することなく2週間で顆粒球減少症から回復した.われわれは本症例の血液障害の被疑薬とその機序について解析を行った. Cefadroxilが免疫複合体型の溶血性貧血に関与していたことが判明した. CefadroxilおよびSalicylamide (PL®の一成分)により抗顆粒球抗体が誘導され,顆粒球減少症が惹起されたことが示唆された.
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