日本臨床免疫学会会誌
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19 巻, 5 号
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  • 日野田 裕治, 今井 浩三
    1996 年19 巻5 号 p. 453-459
    発行日: 1996/10/31
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
  • 大瀬 亨
    1996 年19 巻5 号 p. 460-467
    発行日: 1996/10/31
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    ヒト株化細胞HL-60の分化と細胞表面のレセプターの変化について検討した.走化能関連抗原を認識し顆粒球とのみ反応するモノクローナル抗体TM 316, および抗Fcレセプター抗体を用い, HL-60が分化する際,TM 316対応抗原とFcレセプターの発現について調べた. HL-60の分化は, DMSOを用い,膜表面上の抗原量の変化はセルソーターを用いた.分化5日目のHL-60は細胞がやや縮小し,核の分葉化がみられ,多数の顆粒も出現し,形態学的には顆粒球となった.しかし,走化能関連抗原は,分化後のHL-60においてもヒト正常好中球に比べ少なく,さらに走化能は出現したものの,その程度は正常好中球に比べかなり低下していた. Fcレセプターの検討では, FcγR I(CD 64)とFcγR II(CD 32)は分化HL-60で少量の発現が認められたが, FcγR III B(CD 16 b)は好中球のみに存在し,分化HL-60では認められなかった. HL-60は刺激物質により分化し形態学的には好中球となるが,その機能と表面レセプターは好中球と同一ではないことが判明した.
  • 陳 〓, 菅井 進, 中崎 聡, 小川 淑美, 竹下 昌一
    1996 年19 巻5 号 p. 468-476
    発行日: 1996/10/31
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    Sjögren症候群(SS)患者より得られた2種の単クローン性リウマトイド因子(RF) (IgA-L, IgM-K)に対する抗イディオタイプ(ld)抗体(SF 18/2, AMB 1/5)を作成し, SS患者101名, SSを合併していない慢性関節リウマチ(RA)患者71名,正常人93名についてIdの発現を検討した.結果は(1) ELISAにより血中IdはSS患者ではSF 18/2が17.8%, AMB 1/5は15.8%であったが, RAでもそれぞれ15.5%, 21.7%に陽性であり,正常人でもそれぞれ6.5%, 5.7%が陽性であった, (2) SF 18/2IdはSS患者に弱陽性を示すグループ(45%)が認められその発現が多いのに比べ, AMB 1/5Idでは弱陽性群はなかった, (3)末梢血でSF 18/2Id陽性リンパ球(9.1-37.7%)を有する症例がSS 15例中4例に認められた.
    以上より,SS患者においてSF 18/2Idの発現が多く,このクローンの活性化と単クローン病変との関連が考えられた.
  • 宮武 淳一, 前田 裕弘, 松田 光弘, 辰巳 陽一, 浦瀬 文明, 堀内 房成, 入交 清博, 堀内 篤
    1996 年19 巻5 号 p. 477-487
    発行日: 1996/10/31
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    成人T細胞性白血病(adult T cell leukemia; ATL)患者17例より採取した末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cells; PBMC)に対してレチノイン酸を添加後72時間までの細胞増殖能, interleukin-2 receptor (IL-2 R/P 55 α, Tac, CD 25)の発現を観察した.その結果,レチノイン酸添加後の[3H]-thymidineの取り込みの減少率により3つのグループ(過反応群,反応群,抵抗群)に分けた.また,レチノイン酸添加前後でCD 25の発現の変化は認められなかった.レチノイン酸反応群において,レチノイン酸添加後9時間よりDNAの断片化が観察され,アポトーシスの誘導が示唆された.しかし,健常人PBMCにレチノイン酸添加培養してもDNAの断片化は観察されなかったことより,レチノイン酸はATL細胞特異的に活性をもつことが示唆された.以上より,レチノイン酸はATLの治療に応用可能であると考えられた.
  • 角家 明文, 岡田 純, 近藤 啓文
    1996 年19 巻5 号 p. 488-497
    発行日: 1996/10/31
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    HGF (hepatocyte growth factor)は形態形成,組織再生に寄与し,劇症肝炎患者血清中では上昇する.炎症性筋炎では炎症に伴い筋の破壊と再生が生じる.そこで,我々は炎症性筋炎でのHGFの関与について検討したので報告する.
    血中HGF値をELISAにて測定した.炎症性筋炎の臨床症状,検査値とHGF値との関係を検討した.炎症性筋炎活動期の平均血中HGF値はPMでは0.63±0.11, DM 0.58±0.07ng/mlと健常人の平均血中HGF値の0.26±0.01に比べていずれも有意に高値であった(p=0.028, p=0.023). ADMは0.38±0.08ng/mlであり健常人より高値の傾向を示した(p=0.056).炎症性筋炎では血中HGF値はGOT, GPTなどの検査値との相関はみられなかった.炎症性筋炎7例での同一症例の活動期と非活動期を検討すると,活動期には血中HGF値は1.05±0.26と高値を示したが,非活動期には0.29±0.03と有意な(p=0.044)低下が認められた.肺線維症を合併したPM/DMでの血中HGF値は0.77±0.12と肺線維症の合併のないPM/DM 0.42±0.04に比べ有意(p=0.049)に高値を示した.また,筋炎患者の筋生検組織では免疫蛍光染色法にてHGFの発現を認めた.筋生検組織所見と血中HGF値との関係はopaque-fiberや再生壊死線維を認めたものに血中HGF値との相関を認めた.
    炎症性筋炎における血中HGF値は高値を示し,肺線維症の存在や疾患活動を反映しているものと考えられた.
  • 佐藤 修司, 高橋 徹, 林 敏昭, 岡田 至全, 得能 徹也, 安達 正晃, 日野田 裕治, 遠藤 輝夫, 今井 浩三
    1996 年19 巻5 号 p. 498-504
    発行日: 1996/10/31
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は27歳,女性. PL®とCefadroxilを10日間服用したところ,重篤な貧血が起きたため近医に入院した.病歴および検査所見により,薬剤起因性溶血性貧血と診断された.濃厚赤血球の輸血と被疑薬の内服中止により貧血は改善したが,入院後4日目より顆粒球減少症が進行した.骨髄穿刺にて骨髄球系細胞の著減が認められた.患者は当科に転入院となり,清潔区域に隔離され, PrednisolonおよびG-CSFの投与を行ったところ,致命的な感染症に罹患することなく2週間で顆粒球減少症から回復した.われわれは本症例の血液障害の被疑薬とその機序について解析を行った. Cefadroxilが免疫複合体型の溶血性貧血に関与していたことが判明した. CefadroxilおよびSalicylamide (PL®の一成分)により抗顆粒球抗体が誘導され,顆粒球減少症が惹起されたことが示唆された.
  • 安川 香菜, 河野 通史, 大本 晃裕, 松山 隆治
    1996 年19 巻5 号 p. 505-511
    発行日: 1996/10/31
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    妊娠中に発症しネフローゼ症候群を呈した紫斑病腎炎の1例を経験したので報告する.
    症例は33歳女性.妊娠5カ月時に両下肢に紫斑が出現し,皮膚生検にてleukocytoclastic vasculitisの所見を得た. 1カ月後ネフローゼ症候群を呈し入院した.経過より紫斑病性腎炎が疑われた.
    妊娠中の治療としてヘパリンを用いた抗凝固療法を行い,蛋白尿減少,腎機能保持を計った.妊娠34週目に帝王切開にて2,020gの健全な女児を出産.出産後,腎生検を施行しInternational study of kidney disease in childhood (ISKDC)分類でGrade IIIの紫斑病性腎炎であった. Prednisolone 40mgとdipyridamole 300mgの投与を開始したところ尿蛋白は減少した.その後,ステロイドパルス療法も施行し, 2カ月後には尿蛋白は定性で陰性となった.姉もHenoch-Schonlein紫斑病の既往があり, HLAではDR 4とDQ 4を双方とも有していた.腎炎患者は妊娠中に,約50%に尿蛋白の増加がみられるといわれ,今回の尿蛋白増加には妊娠による負荷も否定できないと考えられた.
  • 石山 香恵, 諏訪 昭, 太田 修二, 森口 正人, 鈴木 貴博, 宮地 清光, 原 まさ子, 柏崎 禎夫
    1996 年19 巻5 号 p. 512-518
    発行日: 1996/10/31
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は41歳女性. 1989年関節痛が出現した.1991年9月咳漱,呼吸困難が出現した. 11月肢端硬化,指尖皮膚陥凹を認めた. 1992年1月,経気管支肺生検により間質性肺炎と診断された.ステロイド服用後症状は改善した. 1993年11月当センターにてにて全身性硬化症と診断された. 1994年1月,ステロイド減量時に,呼吸器症状が再燃した. 3月, cyclophosphamideの大量間欠静注療法を開始された. 2カ月後,咳漱,呼吸困難は著明に軽減し,肺機能検査所見も改善した.
    全身性硬化症に合併した間質性肺炎に対するcyclophosphamide療法の有用性は米国において報告があるが,本邦での報告はこれまでなく本例が初例である.また本例は抗Wa抗体,抗RNAポリメラーゼI-III抗体,抗Ki抗体など稀な自己抗体が陽性であった点でも貴重な症例と考えられた.
  • 西成田 真, 柏崎 禎夫, 菅井 進
    1996 年19 巻5 号 p. 519-523
    発行日: 1996/10/31
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,女性.主訴,失神発作,腰痛. 1986年1月,他医にて高γ-グロブリン血症を指摘された.同3月より失神発作,腰痛が出没し同7月当科入院.関節炎なし.乾燥症状なし.赤沈値1時間161mmと亢進,血色素7.8g/dl. 生化学で総蛋白9.9g/dlと上昇,免疫グロブリン値はIgA値3,440mg/dlと著明に上昇しており, IgGは612mg/dl, IgMは8mg/dlと低下.血清免疫電気泳動でM蛋白(IgA-κ)を認めた.また,骨髄穿刺では異型性のある形質細胞が29%みられた. RFなど自己抗体は全て陰性.以上より多発性骨髄腫(MM)と診断し, melphalanによる治療を開始.次第に治療抵抗性になったため, cyclophosphamide, vincristine, nimustine hydrocloride, prednisoloneによる化学療法を施行した.治療開始2年後の1988年10月, RFがネフロメトリー法で8,240IU/mlと高値を示した. RAPAは40,960倍. RF分画ではIgA RFが著増していた.この時期のM蛋白はmonoclonal antiidiotype antibodyに陽性の反応を示した.本症例では,初期にRFは陰性であり,化学療法の経過中IgA RFの著増を認めた.これに対する正確な機序を説明することは困難であるが, 1つは,本症例のIgA M蛋白は,もともとRF活性をもっており,その後,そのRF活性をマスクするようなIgA M蛋白に対するantiidiotype antibodyが産生された可能性が推測される.もう1つはクローン自体が変化した可能性である.免疫グロブリンの抗原結合部位におけるpoint mutationは,その抗原特異性やイディオタイプの発現を変化させ得る.本症例におけるRF発現の機序について,若干の考察を加えた.
  • 和田 靖之, 北島 晴夫, 久保 政勝
    1996 年19 巻5 号 p. 524-536
    発行日: 1996/10/31
    公開日: 2009/02/13
    ジャーナル フリー
    6歳時に進行性の呼吸困難で発症し,その後長期間呼吸器症状を欠いた不明熱として経過観察されていた児が,口腔内アフタ,好酸球性膿尿,下痢などの粘膜症状を示し,臨床的に過敏性肺臓炎に類似した病態を示したと考えられた1男児例を経験した.患児は血中免疫複合体の高値,呼吸機能検査にて肺拡散能(DLco)の低下,気管支肺胞洗浄液のTcellのモノクローナル抗体の検索でCD 4/8の低下などを認め,さらに沈降抗体法でAureobasidium pullulansの特異抗体が陽性を示した.経過中,患児は高γ-グロブリン血症を呈し,その他にもさまざまな免疫異常状態が観察された.小児期の不明熱を考えるうえで,患児の臨床像は貴重な病態を示すと考え報告した.
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