日本臨床免疫学会会誌
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肺高血圧症に対してACE阻害薬が奏効したMCTDの1例
前川 勝英藤本 隆上村 史朗金内 雅夫土肥 和紘
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1997 年 20 巻 1 号 p. 79-85

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抄録
本症例は,肺高血圧症を合併した44歳女性の混合性結合組織病(MCTD)患者である.本例は,レイノー現象,手指の腫脹,および抗U1RNP抗体の陽性から, MCTDと診断された. MCTDと診断された1年後に,呼吸困難と浮腫が出現したために当科に入院した.本例は,右心カテーテル検査所見から,肺高血圧症による右心不全と診断された. prednoisolone 60mg/日とfurosemide 20mg/日が投与され,浮腫と右心不全症状は改善したが,肺高血圧症は持続した.肺動脈圧は, enarapril 10mg/日の併用によって徐々に低下し, 3カ月後には正常範囲内に改善した.肺高血圧症は, MCTDの予後を決定する主要な因子であるが,治療法がまだ確立されていない.本例は, angiotensin 1変換酵素阻害薬であるenaraprilがMCTDに合併した肺高血圧症に有効であったことが確認されたので, MCTDの合併症の治療を考えるのに貴重と考えられた.
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