日本臨床免疫学会会誌
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間質性肺炎の急性増悪を認めた慢性関節リウマチの1剖検例
荒武 弘一朗江口 勝美右田 清志河部 庸二郎松岡 直樹富永 雅博中村 英樹一瀬 恭史長瀧 重信鳥山 寛
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1998 年 21 巻 3 号 p. 129-136

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抄録
間質性肺炎の急性増悪をきたし,急速な経過をとり呼吸不全で死亡した慢性関節リウマチ(RA)の1剖検例を報告する.症例は57歳女性. 33歳時, RA発症. 41歳時,肺線維症を指摘される.平成8年5月15日より安静時呼吸困難出現.同年6月3日,精査加療のため当科入院となる.入院時,胸部X線上,両側全肺野にびまん性のスリガラス状陰影を認め,高度の呼吸不全を認めた.間質性肺炎の急性増悪を疑い,入院当日より,ステロイドパルス療法を行った.しかし症状改善なく,シクロスポリンの投与を併用するも,呼吸不全は急速に進行して第14病日に死亡した.剖検肺組織では,下葉の一部にHoney comb lung, 肺胞壁の線維化と蜂巣状拡張を認めたが,病変の主体は,著明な炎症細胞の浸潤と肺胞構築の破壊を伴うびまん性の線維化であり,肺胞上皮の剥離や肺胞内出血,一部には硝子膜も認められ, DAD(diffuse alveolar damage)の所見を認めた.
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