日本臨床免疫学会会誌
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胃壁および肺に浸潤を認めinterferon-αで軽快した原発性マクログロブリン血症の1例
北村 登西成田 進金子 元英斉藤 紀子富田 康之沢田 海彦澤田 滋正堀江 孝至
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1998 年 21 巻 3 号 p. 137-144

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抄録
症例は71歳の男性.平成3年10月,腹部膨満感,頚部リンパ節腫脹を認め当院を受診した.内視鏡下の胃生検所見からnon-Hodgkin's lymphoma (diffuse mixed type)と診断した.しかし,血清IgM値の著増,血清免疫電気泳動でIgM-λ型Mタンパクの証明,胃生検の免疫染色で細胞質内にIgMの存在を認め,原発性マクログロブリン血症と診断した.また胸部異常影が認められ,本疾患による肺浸潤の合併が示唆された.数種類の化学療法を施行したが血清IgM値の減少は認められなかった.
Interferon-α (IFN-α, rhIFN-α2b) 600万U/日を開始したところ,治療開始後約3週間で血清IgM値は減少し,胸部異常陰影も一部改善を認めた.その後約1年間寛解状態を維持したが,再発し死亡した.近年IFN-αは骨髄増殖性疾患の治療に用いられており,原発性マクログロブリン血症にも使用し,有効例が報告されている.今後,本薬剤も本症の治療薬剤として,検討されるべきものと思われた.
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