抄録
先に我々は,火傷マウスの単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)やCandida albicans(C. albicans) に対する感染感受性が正常マウスより50 (C. albicans)~100倍(HSV-1)高いことを報告した.又感染高感受性は火傷により誘導されるCD 8+ CD 11 b+ TCRγ/δ+ 2型T細胞(burn-associated type 2 T細胞, BA 2 T細胞)によってもたらされることも明らかにした.今回我々は,火傷マウス由来の2型T細胞をクローン化し,その生物学的性状を検討した.樹立されたクローン細胞(T6S細胞)はBA 2 T細胞と同様高いIL-4とIL-10の産生能を有し, IL-2やIFN-γを産生しなかった. T6S細胞を正常マウスに移入したところ,これらのマウス(以下T6Sマウスと略す)はHSV-1やC. albicansに対して火傷マウスと同等の感染感受性を示した.抗IL-4と抗IL-10のモノクローナル抗体混合液を投与したT6Sマウスは,これらの感染に対して抵抗性を示した.以上, T6S細胞を用いた実験から, HSV-1やC. albicansに対する感染感受性の上昇は2型T細胞由来のサイトカインに起因することが明確になった. 2型T細胞が関与する日和見感染を解析するためのツールとしてT6S細胞は有用である.