日本臨床免疫学会会誌
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精巣上体炎で発症した血管炎症候群の1例
鈴木 和夫佐藤 健比呂
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1999 年 22 巻 5 号 p. 324-330

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抄録
精巣上体炎にて発症し,精索の血管生検にて非特異的な血管炎を認めた血管炎症候群の1例を報告する.症例は, 56歳男性,平成5年6月30日,入浴後に,突然,左精巣痛と39°C台の発熱を生じ,当院泌尿器科を受診.細菌性並びに結核性精巣上体炎を疑われ治療が開始されたが,臨床症状の改善を認めず当科外来を受診.発熱,体重減少,高血圧,白血球・血小板数増多, CRP陽性,赤沈亢進などから結節性多発性動脈炎を疑いステロイドによる治療を開始した. 7月20日,左精巣上体切除と精索血管生検を行い,精索の血管に壊死性変化を伴わない非特異的な血管炎を認めた.免疫抑制剤も併用し,現在経過良好である.精巣を侵す血管炎症候群として結節性多発性動脈炎などが知られているが,精巣痛などが初発症状となることは稀である.本例は壊死性動脈炎を証明できなかったが,精巣上体炎を初発症状とした血管炎症候群の1例であり貴重な症例と考え報告した.
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