日本臨床免疫学会会誌
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ラテックス法によるASO検査で非特異活性を示したIgM-λ型M蛋白血症
花井 幸恵高橋 徹斉藤 定三川人 由美子千賀 孝治近藤 文衛磯辺 正道今井 浩三
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1999 年 22 巻 5 号 p. 331-335

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抄録
ASO活性が非特異的に異常高値を示したIgM, λ型のMGUSの一例を報告する.症例は83歳男性.高熱,咳漱,喀痰が出現,胸部X線検査にて急性肺炎と診断され入院となった.ラテックス免疫凝集法(LA法)でASO活性の異常高値を認めた.抗生物質の投与により肺炎は治癒したが, ASO活性の高値は持続した.血清蛋白電気泳動でM蛋白が認められ,免疫電気泳動でM蛋白はIgM-λ型と判明した.血清蛋白電気泳動で認められるM-componentは,患者血清をLA法に用いたストレプトリジンOを吸着したラテックスビーズによって吸収すると減少したため, M蛋白がLA法によるASO活性高値の原因と考えられた.しかしながら, Rantzs-Randall法ではASO活性は正常値であった. LA法によるASO活性は,ストレプトリジンを吸着せず牛血清アルブミンのみを吸着したラテックスビーズによって吸収された.したがって, M蛋白はストレプトリジンOそのものと反応したのではなく,牛血清アルブミンを吸着したラテックスビーズと反応したと考えられた.本症例のASO活性異常高値はM蛋白による非特異的反応であると考えられた.
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