日本臨床免疫学会会誌
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蛋白漏出性腸症を伴った全身性エリテマトーデスの1例
高木 省治郎押味 和夫隅谷 護人権田 信之狩野 庄吾高久 史麿
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1980 年 3 巻 1 号 p. 32-36

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抄録
われわれは29歳の主婦で蛋白漏出性腸症を主病変とし,副腎皮質ステロイド剤により軽快したSLEの1症例を経験したので報告する.患者は下痢と浮腫を主訴に入院.入院時顔面および下肢に浮腫と胸水および腹水を認めた.検査データでは低アルブミン血症, 131I-PVPテスト異常高値を示したが,蛋白尿は認められなかった.消化管撮影および腸生検では著変なかった.白血球数減少,抗核抗体および抗DNA抗体陽性,低補体体などよりSLEによる蛋白漏出性腸症と診断.腎生検でもSLEを支持する所見が得られた.ステロイド投与により数ヵ月後には臨床所見の改善をみた. SLEによる蛋白漏出性腸症は現在まで4例の報告があるが,消化管病変の特徴的な変化はなく,蛋白漏出性腸症の発生機序も不明のままである.
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