日本臨床免疫学会会誌
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SLE抗T細胞抗体の調節T細胞に対する作用
坂根 剛本田 正明熊谷 俊一恒松 徳五郎
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1980 年 3 巻 5 号 p. 326-336

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抄録
活動期にある全身性エリテマトーデス(SLE)患者にみられるT細胞系免疫異常のなかで,サプレッサーT細胞の機能低下は,その病因と関連して注目されている.この機能欠陥は, SLEリンパ球に固有の欠陥ではなく,病気の活動性に対応して消長し,あたかも,活動性患者血清にしばしば見い出され,非活動期には消滅する抗T細胞抗体の推移ときわめて類似していた.事実,この抗体は正常T細胞に対して,患者リンパ球と同じパターンの欠陥を附与し,活動性SLEにおけるサプレッサーT細胞機能の低下が,この抗T細胞抗体の作用とよく関連していることが明らかとなった. SLE抗T細胞抗体の正常T細胞,あるいは非T細胞による吸収実験およびセファデックスG 200カラムにより分離された抗T細胞抗体のIgGならびにIgM分画を用いた解析は,この抗体がT細胞に対して特異的に作用する,補体依存性のIgM抗体であることを示した.
さらに, concanavalin A誘導サプレッサーT細胞は,自己赤血球とロゼット形成を行い,この自己赤血球ロゼット形成がサプレッサーT細胞に特異的にあらわれる表面マーカーとして妥当であることを見い出し,あわせて,このマーカーをもつT細胞に結合するSLE抗T細胞抗体がlgM型であることを直接的に証明した.
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