日本臨床免疫学会会誌
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少量の金剤(gold sodium thiomalate)により間質性肺炎を発症した慢性関節リウマチの1例
高屋 正敏市川 幸延有森 茂
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1981 年 4 巻 1 号 p. 56-62

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抄録
46歳,女性.慢性関節リウマチに対してgold sodium thiomalateの投与を行った.投与総量140mgとなった時点で,口内炎,皮膚炎とともに,乾燥咳嗽,労作時呼吸困難が出現した.胸部レントゲン所見では,両側中下肺野にび慢性の網状陰影が認められ,肺機能検査では,拘束性障害,拡散障害ならびに低酸素血症を示した.軽度好酸球増多症が認められたが, IgE値は正常であった.金剤に対する皮内反応は陰性であったが,リンパ球幼若化反応は健康人対照に比べ高値を示した.金剤の中止, prednisolone 30mg/日の投与により,自覚症状はすみやかに消失し, 8ヵ月後に肺機能検査,胸部レントゲン所見にも改善を認めた, RAに対する金療法中に急激に発症し,他の金剤による副作用を随伴していたこと,金剤の中止と副腎皮質ホルモン剤が著効を示したことなどの臨床的特徴から,本症例の間質性肺炎は金剤が誘発したものと考えた.
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