抄録
自己免疫疾患患者のNK活性につき広く,検討された報告はない. 20名の女性SLE患者の末梢リンパ球によるNK活性を観察したところ(ステロイド未治療群13.0±3.2%,ステロイド治療群13.6±10.2%),性,年齢を合致させた対照群(34.0±7.5%)に比べ,有意に(P<0.01)低値を示した.健常人リンパ球を,抗リンパ球抗体を含むSLE血清とウサギ補体で低温処理し,生き残ったリンパ球のNK活性を観察すると,顕著な低下を招いた.また,熱変性IgGをNK活性測定系に加えた際にも,著しいNK活性の抑制を認めた.
こうした点から, SLE患者のNK活性の低下の一因として,血清中の抗リンパ球抗体ならびに,免疫複合体などが関与していることが推定された.