日本臨床免疫学会会誌
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遺伝性血管神経性浮腫の一家系
山口 正志石川 昭韓 啓司杉崎 徹三
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1982 年 5 巻 1 号 p. 83-90

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抄録

症例は,現在12歳の女児である.既往歴に2歳頃よりときどき腹痛があり,多い揚合は月に1~2回あった.ときとして激しい腹痛とともに胆汁様吐物を認めている.近医を受診し周期性嘔吐症と診断され加療を受けたことがある.
3歳頃より, “体を打った場合”や“手や顔を下にして寝た時”にその部位や手・顔・足が腫脹することがあり,腫脹は約3~4日持続するとのことである.
4歳の時,「腎炎」を疑い某病院に入院精査を受けたとのことであるが,その詳細は不明である.
患児が9歳の時,右手腫脹を主訴として昭和大学藤が丘病院小児科を受診し,血清補体価およびC4が異常に低値を示すことを指摘され,精査によりhereditary angioneurotic edema (以下, HANEと略す)と確定しえた症例である.
また,祖母・母・妹にも血清補体価およびC4の低値が認められ, C1-inactivator (C1-INAと略す)の測定によりHANEと診断した.
今回,著者らは本家系について症例報告する.

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