日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
5 巻, 1 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 宮本 昭正
    1982 年 5 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    気管支喘息やアレルギー性疾患の重要なアレルゲンである室内塵の最も重要な病因的抗原であるダニについて検討を加えた結果をまとめた.
    皮膚反応の一致性,吸入誘発試験の結果, P-K反応の相関性や中和試験, Sephadexでの分画の結果などから室内塵抗原の最も重要な抗原性物質はダニであると結論したが,本検討に用いたダニは純培養に成功していたdermatopha. goides farinaeであった.ところが室内塵からは36種のダニが同定された.そこで培養に成功した7種のダニについて皮膚反応やP-K反応などで検討してみたところダニ相互間に高い共通抗原の存在が認められた.また,ダニの虫体と糞の間には高い共通抗原が存在していることが明らかになった.
    ダニ抗原を泳動したautoradiographyの結果からダニには少なくとも4つの泳動度の異なるアレルゲンの存在が明らかになったが,それぞれと反応するIgE抗体の力価の差とアトピー性疾患とはある程度関係があるようであった.患者および健常人からの末梢血中のB細胞とT細胞をco-cultureして産生されるダニに対するIgE抗体を測定した結果,アトピー性疾患患者のT細胞にはIgE産生に対するsuppressor activityが低下しているか,またはhelperactivityが増しているという結論が得られた.なお, B細胞をレントゲン照射しダニに対するIgE抗体の産生をしらべた結果から, IgEの産生にはradioresistantなB細胞が一部関与していることが明らかにされた.
  • プラークアッセイによるsingle cellレベルでの解析
    鈴木 昇, 佐藤 譲, 菊地 孝夫, 岡野 健, 伊東 恭悟, 熊谷 勝男
    1982 年 5 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    In order to resolve the question whether interferon (IF)-induced augmentation of human ADCC activity is due to an increase of the number of effector cell (K-cell) or an activation of individual effector cell, the effect of interferon on the number and size of K-cell plaque was examined at a single cell level by plaque assay method using Cunningham's chamber.
    In the absence of IF, the number of K-cell plaque was reached to the maximum at 8hr, whereas in the presence of IF it was more increased depending on the concentration of IF at the early time of culture (3-5hr). However, 8hr of incubation, the maximum number of K-cell plaque in the presence of IF was equal to that in the abscence of IF. Furthermore, the area of individual plaque of K-cell in the presence or abscence of IF was measured at 8hr of culture and compared with each others. It was revealed that the average area of K-cell plaque in the presence of IF was significantly larger than that in the abscence of IF.
    We concluded that the treatment of human peripheral lymphocytes with IF resulted in the augmentation of activity of the individual K-cell, but not the increase of number of K-cell.
  • 後藤 眞, 茆原 忠夫, 谷本 潔昭, 堀内 淑彦
    1982 年 5 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    前報で報告した全身性エリテマトーデス(SLE)患者のnatural killer (NK)活性の低下と比較しっっ, Sjögren症候群(SjS)・慢性関節リウマチ(RA)患者のNK活性を調べた. 19例の女性のSjSのNK活性は対照に比較して有意に低下していた.逆に, 29例のRAのうち, 21例の女性の患者では,対照に比べ有意に上昇していた. SjSのNK活性の低下の原因としては, NK活性自体の欠陥とともに,抗リンパ球抗体や使用薬剤・免疫複合体等の関与が考えられるが,今回の結果では,抗リンパ球抗体の関与は少ないと考えられた. NK活性の高いRA患者では金療法を受てけいる例が多く,金製剤の投与量とNK活性との問に,有意な相関が認められた.
  • 更井 哲夫, 中村 善一, 坂本 賢司, 宮脇 昌二, 大藤 眞
    1982 年 5 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    SLE医療従事者には各種免疫異常の発現が報告されている. SLE患者ならびに患者血清と接触を有する当科医療関係者の70例,一般医療関係者35例,対照群としての供血者96例について,ラット肝凍結切片を用いた間接螢光抗体法による抗核抗体(ANA),細胞障害性試験による抗リンパ球抗体価(ALA), 14C・ssDNAを用いたFarrの方法による抗変性DNA抗体価をそれぞれ求めた. ANAはSLE医療関係者の8.6%,一般医療関係者の6.7%に検出され,抗変性DNA抗体はSLE医療関係者の25.7%,一般医療関係者の16.7%,供血者の4.2%に検出された. ALAはSLE医療関係者の10%,供血者の4.1%に検出された. ALAは3群の間に有意差を認めないが,抗変性DNA抗体価はSLE医療関係者に有意に高抗体価を認め,特に女性に高い抗体価を得た. 3抗体出現様式に相互の関連性にはみられなかったが, SLE医療関係者群にSLE患者と一部ながら共通した免疫現象がみられたことは,発病因子を検討する上で興味がある.
  • テオフィリン感受性T細胞のMLRにおける刺激能・反応性の検討
    伊福 秀貴, 甲斐 俊朗, 原 宏, 永井 清保
    1982 年 5 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Human peripheral blood T lymphocytes were separated into theophylline-sensitive T cells (Tsen) and theophylline-resistant T cells (Tres); Tsen cells which lost the capacity to bind sheep red blood cells in the presence of the drug; Tres cells which were unaffected by the drug. Tsen cells could stimulate allogeneic cells in mixed lymphocyte reaction, but could not stimulate autologous unseparated T cells (Ttotal). Tres cells did not have the ability to stimulate al'ogeneic and autologous cells.
    When we placed Tsen cells and Tres cells as responding cells in autologous mixed lymphocyte culture, both of the responses were significantly lower than that obtained when we placed unseparated T cells. These results suggest that the decreased autologous MLR may reflect an imbalance of Tsen cells and Tres cells.
  • 山田 晴生, 斎藤 征夫, 松浦 正明, 佐藤 純一, 近田 研, 島田 達矢, 沢木 〓二
    1982 年 5 巻 1 号 p. 40-46
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Vitaminと免疫との関係は, vitamin B6などの欠乏動物にthymus atrophyが認められるとの報告以来注目され, vitaminが免疫に重大な影響を与えていることが示唆された.本研究は, vitamin B6が免疫系に関与する機序および作用部位を解明するため, vitamin B6欠乏guinea pig (VB6 DG)を作製して免疫系を調べるとともに, vitamin B6の再投与における回復実験を行なった.さらに,末梢リンパ球幼若化率に対するvitamin B6, anti-vitamin B6の影響を調べた. V B6 DGでは,対照と比較して,組織学的にT cell領域の萎縮が認められ,末梢リンパ球数も約25%に減少した.特にT cell数の減少が著明であった. ADCC%およびγ-globulin量も半減した.しかし,これらはvitamin B6再投与による回復実験で対照の80~90%に回復した.また, guinea pigの末槽リンパ球幼若化率はanti-vitamin B6によって低下した. vitamin B6は胸腺に直接作用すると同時に末梢リンパ球にも働き,免疫反応に影響するものと思われる.
  • 二ノ宮 弘子, 青塚 新一, 横張 龍一
    1982 年 5 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    仔ウシ肝RNAを抗原としたsolid phase radioimmunoassayにより,自己免疫疾患患者血清中の抗RNA抗体を免疫グロブリンクラス別に測定した.その結果, IgGおよびIgM抗RNA抗体は,ともにSLE患者血清において特異的に高値を示し,その他の自己免疫疾患や正常人と比較して有意の差を認めた.また,活動期SLEと寛解期SLEの間に有意の差を認め,症例ごとに一定期間経過を追って測定した場合,それぞれの活動性に応じて抗RNA抗体の上昇をみた.抗2本鎖RNA抗体は, SLEの病態との関連が深いことが推察され,著者の測定法は,抗RNA抗体を高感度に免疫グロブリン別に測定できる利点がある.
  • 松村 直幸, 田上 広樹, 西田 康一, 堀田 忠弘, 渡辺 幸市, 竹村 周平, 吉川 敏一, 近藤 元治
    1982 年 5 巻 1 号 p. 56-58
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    ビタミンB12 (B12)の補体系に及ぼす影響をin vitroおよびin vivoの両面から検討した.
    B12のin vitroにおける補体系への影響は,新鮮血清の補体活性を対照として,これに各濃度のB12を加えて反応させたのち,感作ヒツジ赤血球(EA)および非感作ウサギ赤血球(RaE)の溶血率の変化を経時的に観察すると, B12濃度を増加させるにしたがってヒト補体classicalおよびaltemative pathway活性の低下がみられた.また, B12が腹腔内投与されたモルモット群において, CH50およびACH50の上昇, C3およびC4の増加を認めた.以上の成績から,多量のビタミンB12は補体classicalならびにalternative pathwayを活性化して, in vivoにおいて補体産生を亢進させることが示唆された.
  • 松本 純治, 磯部 敬, 冨田 誠人, 伊東 俊夫, 藤田 拓男
    1982 年 5 巻 1 号 p. 59-65
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    新しいアミロイドの主要蛋白がつぎつぎと明らかとなってきた.そこで,主要蛋白による新しい分類法が試みられている.本論文において,われわれは免疫組織化学的にホルマリン固定パラフィン包埋切片上においてアミロイド線維蛋白の同定を試みた.アミロイドAA蛋白と他の種類のアミロイド蛋白を間接的に区別する有用な方法としてWrightらの過マンガン酸カリアルカリコンゴレッド法があり,この方法に関しても比較検討した.アミロイド蛋白の抗血清のうち抗AA血清を使用し酵素抗体法間接法を用いて行なった.対象として,続発性アミロイドーシス16例, Plasma cell dyscrasia (PCD)に伴うアミロイドーシス27例(primary 16例, myeloma 11例)につき比較検討した.続発性アミロイドーシスの基礎疾患としてRAが69%と最も高頻度を占めた.酵素抗体法に関して続発性アミロイドーシス群ではAA蛋白陽性, PCD群では陰性を示した.過マンガン酸処理後には続発性アミロイドーシス群全例コンゴレッドに感受性を示した.
    以上より,抗AA血清を使用した酵素抗体法はアミノ酸分析を行なわなくてもAA蛋白を同定するのに有用な方法である.
  • 原田 弘智, 笠原 忠, 尾形 研二, 中野 康平, 森田 守, 河合 忠
    1982 年 5 巻 1 号 p. 66-75
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    A polyclonal B cell mitogen, formaldehyde-fixed Staphylococcus aureus Cowan I (SpA CoI) bacteria, stimulated proliferative response of human B cells and induced large quantity of IgM, G and A production. Proliferative response and Ig production by SpA CoI bacteria was independent of the presence of T cells.
    Various B cell subsets from tonsil and peripheral blood were separated regarding complement receptor (C3R), IgG-Fc receptor (FcR) or surface immunoglobulin (SIg) on their surface using various rosette formation techniques. Which of the B cell subsets were activated by the stimulant was investigated in detail. Marked increase in the SpA CoI-induced proliferative response and Ig production was observed in C3R+ cells but not in C3R- cells. It was also shown that FcR- cells responded to SpA CoI bacteria more strongly than FcR+ cells. While SIg- cells failed to respond to SpA CoI bacteria, SIg+ B cells responded markedly to the stimulant. Among the SIg+ B cell subsets, in particular, IgM+ and IgG+ B cells showed a marked response to the stimulant and much less response was seen in IgA+ and IgD+ B cells.
    These results indicate that B cell subsets responding to SpA CoI bacteria were characterized as C3R+, FcR- and SIg+ (in particular IgM+ and IgG+) B cells, which belonged to immature or young B cells. SpA CoI bacteria was thus capable of differentiating these B cells into mature B cells and plasma cells and was proved to be a useful tool in the study of the maturational development and differentiation.
  • 斉藤 斉, 市川 幸延, 高屋 正敏, 有森 茂
    1982 年 5 巻 1 号 p. 76-82
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    著者らは成人スティル病と考えられる一症例を経験したので報告する.
    症例は49歳の女性で, 1978年12月より悪感・間欠熱・多発性関節痛および筋肉痛が出現した.他院にて感染症の疑いで,約2年間精査および種々の抗生剤治療を受けたが症状は改善しなかった. 1980年4月28日精査を希望して当院受診し,入院となった.入院時,いくつかの関節に関節炎の所見を認め,肝脾腫も認められた.検査成績では,白血球の著増(22900/mm3,好中球91%),赤沈値の亢進(119mm/h),低色素性小球性貧血があり,血清学的にはRА因子がRAテスト(2+), RAHA 1280倍と陽性を示した.左膝関節液検査では白血球増多(49,700/mm3,好中球98%),グルコースの低下(10mg/dl),補体価の低値(CH50 8.4u/ml)が認められた.種々の細菌学的・血清免疫学的検査によって感染症や他の免疫学的疾患を否定することができた.
    多発性関節炎・脾腫を除いて,本症例の臨床症状は, indomethacin (100mg/day)とprednisolone (10mg/day)の併用療法に反応して改善が認められた.
    現在までに報告された成人スティル病の特異的臨床症状と本症例を比較するとともに,文献的考察を加えた.
  • 山口 正志, 石川 昭, 韓 啓司, 杉崎 徹三
    1982 年 5 巻 1 号 p. 83-90
    発行日: 1982/02/28
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は,現在12歳の女児である.既往歴に2歳頃よりときどき腹痛があり,多い揚合は月に1~2回あった.ときとして激しい腹痛とともに胆汁様吐物を認めている.近医を受診し周期性嘔吐症と診断され加療を受けたことがある.
    3歳頃より, “体を打った場合”や“手や顔を下にして寝た時”にその部位や手・顔・足が腫脹することがあり,腫脹は約3~4日持続するとのことである.
    4歳の時,「腎炎」を疑い某病院に入院精査を受けたとのことであるが,その詳細は不明である.
    患児が9歳の時,右手腫脹を主訴として昭和大学藤が丘病院小児科を受診し,血清補体価およびC4が異常に低値を示すことを指摘され,精査によりhereditary angioneurotic edema (以下, HANEと略す)と確定しえた症例である.
    また,祖母・母・妹にも血清補体価およびC4の低値が認められ, C1-inactivator (C1-INAと略す)の測定によりHANEと診断した.
    今回,著者らは本家系について症例報告する.
feedback
Top