日本臨床免疫学会会誌
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進行胃癌切除例に対する摘脾と免疫化学療法
三輪 恕昭鶴身 孝文小島 啓明飯島 崇史折田 薫三
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1982 年 5 巻 2 号 p. 125-130

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抄録

昭和40年1月より昭和55年12月までに岡大第1外科で胃切除をうけた胃癌例を対象とした.
摘脾の効果を免疫学的パラメーターの手術前後での変動についてみた.その結果では,摘脾はリンパ球PHA幼若化率,末梢リンパ球数,血小板数, PPD皮膚反応を増強させたが, PHA皮膚反応を増強させなかった.レバミゾールを用いる免疫化学療法と摘脾は,進行胃癌例に術後の細胞性免疫能の増強をもたらした.
上中部胃癌stage III, IV例で胃全摘をうけたstage III 67例(摘脾群: 34例,非摘脾群: 33例), stage IV 23例(摘脾群: 18例,非摘脾群: 5例)の累積生存率は非摘脾群の方が高かった.しかし, stage IVに限定して生存率をみると,摘脾群の生存率の方が常に非摘脾群の生存率より高かった.

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