日本臨床免疫学会会誌
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胸腺腫を伴う免疫不全症(Good症候群)の1例
松永 敬一郎加藤 清谷 賢治千場 純石ケ坪 良明福島 孝吉
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1982 年 5 巻 2 号 p. 153-158

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抄録

本症例は,胸腺腫のために胸腺腫摘出術を受けたのち,反復する気道感染に加えて著明な低γグロブリン血症を伴っていることが判明し, Good症候群と診断された.免疫学的には全てのクラスの免疫グロブリンの低値および皮膚遅延型反応の陰性を示し, ConA・PHA・PWMに対する末梢血リンパ球の幼若化反応では, ConAに対してのみ低値を示した.感染歴をみると,当初はグラム陽性球菌による気道感染が主体であり,経過するにつれてCandidaによる気道感染を伴うようになり,剖検時,心筋・肺・腎にCandida感染巣を認めた.以上より,本症候群は液性免疫能と細胞性免疫能の双方が障害されている免疫不全症であると考えられた.また,本症候群の遺伝形式は不明とされているが,本症例のように突然変異形質が出現している可能性もあり,今後の症例の蓄積が望まれる.

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