日本臨床免疫学会会誌
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Chlorambucilが有効であったステロイド抵抗性難治性ループス腎炎の1例
木須 達郎草場 公宏上田 章亀田 志郎吉良 潤一三宅 恒徳
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1982 年 5 巻 2 号 p. 159-166

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抄録

症例は30歳女性. 1973年, SLEと診断され, 1975年,尿蛋白出現のため当科初回入院.腎生検はminimal changeであった.翌年,妊娠中に尿蛋白は高度となりネフローゼ症候群を呈した.分娩後ステロイド剤の増量で尿蛋白は減少したが,以後ステロイド剤を減量すると再燃を繰り返し,高度の全身浮腫・腹水のため, 1979年12月当科入院.プレドニソロンを1日量40mg以上3ヵ月間投与したが無効であった.翌年3月の腎生検所見はdiffuse proliferativelupus nephritisであった. chlorambucil 6mgl日を併用したところ,数週間後より血清アルブミンの上昇,浮腫・腹水の軽減を認めた.併用中に一過性の軽度の白血球減少がみられたがchlorambucil中止により回復したので再投与し,その後現在に至るまでネフローゼ症候群の再発をみていない.
以上chlorambucilの併用が有効であったステロイド抵抗性難治性ループス腎炎の1例を報告した.

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