日本臨床免疫学会会誌
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サルモネラ菌からのヒトBリンパ球マイトジェン(endotoxin protein)の分離とその性状
佐藤 譲岡野 健菊地 孝夫鈴木 昇片岡 茂樹野村 暢郎後藤 由夫熊谷 勝男
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1982 年 5 巻 3 号 p. 220-229

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抄録
Endotoxin protein (EP)はグラム陰性桿菌の外膜に存在し, TCAで抽出したLPSに結合して分離される.このLPS-EP複合体を温フェノール・水で処理すると,フェノール層にEPが得られる,我々はこの方法に従ってS. minnesota R 595の粗LPSから蛋白成分を抽出してEPを得た.このEPのマイトジェン活性は我々の粗LPSや市販のLPS (E. colli 0111: B4)より強く,全てのdonorのリンパ球DNA合成を促進した. EPは,ナイロン付着性, E-ロゼット非形成性リンパ球に対してマイトジェン作用を有し,また抗ヒトTリンパ球モノクロナル抗体と補体で処理したリンパ球に対しても同様の作用を示したことから, Tリンパ球非依存性のBリンパ球マイトジェンと考えられた.その組成はポリアクリルアミド電気泳動法およびlimulusテストから,分子量10,000から40,000の蛋白で,多量のlipid Aを結合していることが知られた.そしてポリミキシンBによる阻害実験から, EPのマイトジェン活性の本態はLPSと同様にlipid Aにあることが示唆された.
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