日本臨床免疫学会会誌
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一過性低IgM血症を伴った自己免疫性溶血性貧血の一例
市川 幸延清水 宏明内山 光昭有森 茂
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1985 年 8 巻 6 号 p. 359-366

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抄録
免疫不全症患者に自己免疫性溶血性貧血(AIHA)が発症する場合のあることが知られている.またAIHA患者には血清免疫グロブリン異常がしばしば認められることも報告されているが,極端に血清免疫グロブリンが低下することはまれである.
私達は,溶血発作時に著しい低IgM血症(7mg/dl)を伴ったIgG抗体による特発性AIHAの一例を経験したのでここに報告する,その他の血清免疫グロブリンではIgA(408mg/dl)とIgE(1,090u/ml)は増加し, IgG(759mg/dl)は軽度に減少していた.表面免疫グロブリン陽性細胞として測定した末梢血Bリンパ球は7.3%と正常で, IgG, IgA, IgM陽性Bリンパ球もそれぞれ7.7%, 2.0%, 3.7%と正常に存在した.一方,末梢Tリンパ球はOKT3, OKT4, OKT8陽性細胞のいずれも著減していた.本症例にみられた低IgM血症は一過性で,メチルプレドニゾロンによる治療によって溶血が改善するに従い血清IgM値は正常化した.
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