日本臨床免疫学会会誌
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IFN (α, β, γ)によるヒト造血器腫瘍株(Molt-4, Raji, Daudi, K562)のβ2-microglobulin産生に関する研究
若杉 和倫山根 伸吾坂本 昌隆中村 浩彰鈴木 満金 兌貞
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1986 年 9 巻 3 号 p. 165-173

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抄録
IFN-α, β, γによる造血器腫瘍細胞株Molt-4, Raji, Daudi, K562への影響について,培養上清および細胞β2-mを定量し検討した. Molt-4ではIFN-α, γによって細胞β2-mの増量が認められ,培養96時間後まで培養時間に依存して増加率が上昇した. RajiではIFNによる細胞β2-m増加率は低値であったが,上清β2-m増加率は細胞β2-m増加率より高く, Molt-4, K562と異なった動態を示した. Daudiでは上清,細胞ともβ2-mを検出することができなかった. K562ではIFNによる細胞β2-m量は培養1日目に最大増加率が認められ,その増加率はγ>α, γで,培養1日目にピークに達する一過性の増加であった. IFNと腫瘍細胞株との関与はその感受性によると老えられる結果を細胞β2-m動態が示し,腫瘍細胞株に同系の細胞によって産生されたIFNを添加培養するととくに強いβ2-m増強が認められた.治療上β2-mは重要な指標の一部となりえると思われた.
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