日本臨床免疫学会会誌
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9 巻, 3 号
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  • 平家 俊男, 三河 春樹
    1986 年9 巻3 号 p. 147-156
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 橋本 博史, 菅原 正弘, 津田 裕士, 廣瀬 俊一
    1986 年9 巻3 号 p. 157-164
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    プロスタグランディンE1は,末梢血管拡張作用および血小板凝集抑制作用を有し,閉塞性血管病変ならびに末梢循環障害に有効性が認められているが,その臨床応用にあたっては,肺で失活されるため,動脈内投与,持続点滴,大量投与などが必要である.最近,これらの欠点を改良し, targeting効果をあわせもつ新しい製剤Lipo PGE1が開発された.
    著者らは,全身性エリテマトーデスに伴う皮膚潰瘍・指尖潰瘍,レイノー現象,皮疹,血栓性静脈炎13例に対してLipo PGE1をPGE1として1日5~10μg, 2~19週連日点滴静注し,全般改善度は,やや改善以上92.3%,有用度は,やや有用以上84.6%との成績をえた.副作用は2例に一過性の血管痛を認めたのみで安全性にはとくに問題なかった.以上, Lipo PGE1は,全身性エリテマトーデスの末梢循環障害の諸症状の改善に有用な薬剤であると考えられた.
  • 若杉 和倫, 山根 伸吾, 坂本 昌隆, 中村 浩彰, 鈴木 満, 金 兌貞
    1986 年9 巻3 号 p. 165-173
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    IFN-α, β, γによる造血器腫瘍細胞株Molt-4, Raji, Daudi, K562への影響について,培養上清および細胞β2-mを定量し検討した. Molt-4ではIFN-α, γによって細胞β2-mの増量が認められ,培養96時間後まで培養時間に依存して増加率が上昇した. RajiではIFNによる細胞β2-m増加率は低値であったが,上清β2-m増加率は細胞β2-m増加率より高く, Molt-4, K562と異なった動態を示した. Daudiでは上清,細胞ともβ2-mを検出することができなかった. K562ではIFNによる細胞β2-m量は培養1日目に最大増加率が認められ,その増加率はγ>α, γで,培養1日目にピークに達する一過性の増加であった. IFNと腫瘍細胞株との関与はその感受性によると老えられる結果を細胞β2-m動態が示し,腫瘍細胞株に同系の細胞によって産生されたIFNを添加培養するととくに強いβ2-m増強が認められた.治療上β2-mは重要な指標の一部となりえると思われた.
  • 安部 陽一, 稲田 進一, 鳥飼 勝隆
    1986 年9 巻3 号 p. 174-184
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ(RA)の1症例, HaT例血清中に,既知の自己抗体と異なる新たな沈降抗体を見出し,患者名より,抗HaT-1抗HaT-2抗体と命名したが,このうち抗HaT-1抗体の性状,対応抗原の物理化学的性状,臨床的意義を追求した.
    その結果,抗HaT-1抗体は, IgM抗体で,対応抗原であるHaT-1抗原は,推定分子量約15万の酸性蛋白と考えられた.
    また,抗HaT-1抗体は, RAの9例(20%), RA+シェーグレン症候群(SjS)の2例(11.1%)にのみ検出され, RAに特異性が高かった.
    本抗体は,他の免疫異常との相関を示さなかったが,臨床所見の, digital angitis,リウマトイド皮下結節と有意の相関(p<0.01)を示し, RAの関節外症状と関連が深いと考えられた.
    以上の結果より,抗HaT-1抗体は, RAのsubsetマーカー抗体としての意義が強く示唆された.
  • 城 宏輔, 堀内 清, 富田 有祐, 木谷 信行, 渡辺 直熙, 城 謙輔, 今井 健郎, 松本 文夫
    1986 年9 巻3 号 p. 185-196
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Hyper IgE syndromeの男子例を15年にわたり経過観察し,その臨床像と免疫学的,組織学的所見を検討した.臨床症状は生後3ヵ月に皮膚膿瘍で始まり, 10歳までに肺炎,喉頭炎,爪床炎,膿胸,敗血症,骨髄炎に罹患した.特徴的な粗野な顔貌は9歳のときには認められていた.気管支炎,肺炎は17歳ごろからとくに頻回となり, 23歳ごろには息切れが絶えずみられ,バチ状指となってきた.免疫学的検査では血清IgE値の高値,分泌型IgAの低値,多核球遊走能の低下, DNCBに対する不応,抗ブドウ球菌IgE抗体と抗IgE自己抗体の増加, FcεR+Bリンパ球の増加が認められた.患者白血球はブドウ球菌抗原によりヒスタミンを遊離し,同抗原で刺激された患者白血球浮遊液の上清は多核球遊走能を著しく抑制した.皮膚生検ではマスト細胞のspontaneousな脱顆粒が認められた.これらの所見をもとに,マスト細胞からの化学伝達物質遊離抑制薬であるdisodium cromoglycate液の吸入療法を行ったところ,気道感染症状は著明に減少した.
  • 臨床的および免疫学的検索
    吉田 栄一
    1986 年9 巻3 号 p. 197-205
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    血液透析患者は,その免疫能が低下していることが以前より報告されている.一方,最近の血液透析技術の進歩により,長期透析患者の増加とともに,長期透析患者の社会復帰や,発癌性の問題が注目されるようになってきた.そこでわれわれは,血液透析患者を対象に,悪性新生物の発生頻度およびその免疫能について検索した. 504名の血液透析患者のうち18名(3.57%)に悪性新生物が発生し,この値は,一般健康人に比して明らかに高値を示した.また,免疫能に関する検索では,血液透析患者では, OKM1+細胞が有意に減少し, NK・K cellの減少が示唆された.また,患者のリンパ球は,健康人のmitogen responseを強く抑制し,免疫抑制活性をもつことが判明した.一方,血清中の免疫抑制物質として知られているIAPも血液透析患者では,有意に増加していた.こうした,細胞性,液性免疫能の低下が,血液透析患者における高頻度の悪性新生物発生の原因と推測された.
  • 小橋 主税
    1986 年9 巻3 号 p. 206-216
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    抗癌免疫療法患者における細胞性免疫能をみるために,溶連菌製剤OK-432を消化管癌患者54例に投与し,末梢血T細胞, B細胞, NK活性, ADCC活性,血清IFN力価およびリンパ球のIL-2産生能を検査した. (1)全身投与群32例でNK活性と血清IFN値が有意(p<0.05)に上昇した. (2)局所投与群22例で, NK活性とADCC活性が有意(p<0.01)に上昇した.局所投与の2例で腫瘍の消失と生検による癌組織像の陰性化がみられた. (3)非投与群18例で, NK活性とADCC活性およびリンパ球のIL-2産生能が有意(p<0.05)に低下した. (4)本剤投与後の予後良好群では不良群に比し, T細胞比率およびNK活性が高かった.
  • 仲村 恒敬, 竹内 二士夫, 柏戸 敬道, 中野 啓一郎, 栗山 基朗, 荻田 忠厚, 宮本 昭正
    1986 年9 巻3 号 p. 217-223
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    後天性免疫不全症候群(AIDS)に関する基礎的検討の1つとして,本邦におけるhomosexual男性群の免疫機能ならびに, AIDSの原因と考えられるHTLV-IIIの感染の有無について検討した.検討しえたなかには, AIDS発症例およびHTLV-III感染例は存在しなかったが, homosexualな男性群では,すでに免疫機能の低下がみられることが認められた.このことは,欧米の従来の報告と一致し, homosexualな生活様式によると考えられる免疫機能異常には人種差は存在しないものと考えられた.
    AIDS発症の直接の原因はHTLV-IIIの感染であると考えられるが, AIDS症例の大多数を占めるのがhomosexual男性であるという疫学的事実は,彼らの生活様式によると考えられる免疫学的異常がその背景にあることによる可能性を示唆していると思われた.
  • 石山 泰二郎, 阿部 総太郎, 堀江 誠一, 菅谷 直樹, 若林 芳久, 廣瀬 俊一
    1986 年9 巻3 号 p. 224-229
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    41歳の女性が高熱と多関節痛を主訴に来院した.多関節痛,白血球減少, LE細胞,抗核抗体高値よりSLEと診断した.患者IgAは, 9mg/dlでありプレドニンによる治療にても不変であった.一方患者IgG・IgMは増加していて治療に反応して低下した.
    患者末梢血リンパ球のうちEロゼット形成細胞は, 79%であった.また, Eロゼット非形成細胞のうちIgA保有細胞は, 20%存在していた.
    正常人と患者末梢血リンパ球をPWMを使用して, IgA産生能を測定したところ,患者では,正常人IgA産生の約1/4であった.正常人T細胞と患者B細胞の混合培養でも, IgA産生は低かった,また,患者T細胞と正常人B細胞の混合培養にても, IgA産生は低かった.
    以上より,患者におけるIgA欠損は, B細胞およびT細胞によるものと思われる.
  • 河野 通史, 佐藤 幹弥, 松山 隆治, 宮田 亮, 真銅 良吉
    1986 年9 巻3 号 p. 230-235
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)経過中単純ヘルペス脳炎を合併しadenine arabinosideが奏効した1例を報告する. 24歳女性. 13歳時発症のSLEでprednisolone 20mg前後の維持量にて経過順調であった.昭和59月6月1日より全身倦怠感, 6月5日頭痛,発熱出現し入院.入院後全身性間代性痙攣がみられ昏睡状態となり,右片麻痺を呈した. SLEの急性増悪を示す指標なく,脳波で全般的な徐波化と, left anterior temporal areaにparoxismal single sharp waveがみられ,頭部CTでleft medial temporal lobeに著明なhigh density areaとそれをとりまくlow density areaがみられた.髄液はやや血性,蛋白292mg/dl,細胞数329/3, ELISA法およびFA法にて単純ヘルペス抗体陽性であった.第2病日よりadenine arabinoside 700mg/日使用.右片麻痺は第4病日に消失,意識レベルも第9病日に正常化した. SLEにおける中枢神経症状の際,原病と感染の鑑別が重要であるが,その際単純ヘルペス脳炎も念頭におく必要があると考えられた.
  • 藤井 昌彦, 今 充, 山中 祐治, 森田 隆幸, 佐々木 睦男, 小野 慶一
    1986 年9 巻3 号 p. 236-239
    発行日: 1986/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    脾臓のもつ潜在的な免疫活性機能を賦活させ門脈血中への抗腫瘍効果を誘導する目的において遊離有茎皮下埋没脾臓ラットを作製し, Biological Response Modifier (BRM)を脾臓内へ連続的に投与した. BRMとしてlipopolysaccharide (LPS: Sigma E. coli 026: B 26), BCGおよびOK 432を用いた.
    BRM連続脾内投与群ではControl群に比して門脈血血清中のL 929に対する細胞傷害活性も有意(P<0.05)の上昇がみられ同時にinterferon (IFN)活性も有意に上昇した.さらに門脈血中および脾臓内単核細胞の抗腫瘍活性も有意の活性上昇が認められた.また病理組織学的にもT cell zoneリンパ球および組織球の著明な増生が認められた.以上の所見よりBRMの新しい投与経路としての脾臓内連続投与は種々の免疫機能賦活作用を有しており多面的な抗腫瘍効果を十分期待しうる方法であることが示唆された.
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