抄録
recombinant interleukin 2 (rIL-2)とIL-2依存性のcell line (NKC-3)の系を用いて精漿中の免疫抑制物質の作用機序について検討した.精漿の添加によりNKC-3 cellのIL-2 responseが阻害され3H-thymidineの取り込みの著明な低下がみられた.しかしながらIL-2非依存性のcell lineであるNS-1やYAC-1に精漿を加えても,この抑制はみられなかった.また, harvest 6時間前の精漿の添加では抑制効果がみられなかった.この精漿中のIL-2抑制物質はゲル濾過にて分子量74万以上の巨大分子であり,また105,000 G, 2時間の超遠心を行うと沈殿側に抑制活性が移動することがわかった.精漿とIL-2を混合後,超遠心により沈殿側に抑制物質が移動すると上清にはほぼ100% IL-2活性が回収され,精漿中の免疫抑制物質はIL-2に直接効果を及ぼさないことが示唆された.精漿存在下のNKC-3 cellは洗浄により精漿を除くとIL-2のresponseを回復した. 125I-rIL-2のNKC-3 cellへの結合は,精漿濃度依存性に抑制された.さらにIL-2 receptorに対するmonoclonal抗体(3C7, 7D4)を用いたflow cytometryにおいて,精漿によりIL-2 receptorに対するmonoclonal抗体の結合の低下がみられた.以上により,精漿は細胞側のIL-2 receptor siteに作用してIL-2の効果を抑制することが示唆された.