日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
9 巻, 4 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 太田 善介, 高橋 香代
    1986 年9 巻4 号 p. 241-248
    発行日: 1986/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 元吉 史昭, 近藤 直実, 折居 忠夫
    1986 年9 巻4 号 p. 249-255
    発行日: 1986/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    生体の細胞膜構造はその細胞の機能や膜レセプターとの関連で重要視されている.著者らはリンパ球系細胞の機能や分化と,膜構造のうちでもとくに膜アスパラギン結合型糖タンパク糖鎖構造との関連について検討している.今回は小児急性リンパ性白血病(ALL)細胞およびEpstein-Barrウイルス感染株化リンパ芽球様細胞(LCL)を対象として, Kobataらの方法により膜のアスパラギン結合型糖鎖構造を解析した.その結果Null-ALL, Common ALL, Pre-B-ALL, LCLに共通して根元フコースを有する単純2本鎖構造が主要構造であった.さらに興味あることにはEAC rosette陽性のCommon ALLやB細胞株であるLCLではbisectのN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)を有する2本鎖構造がみられた.幹細胞からB細胞へ分化するにつれて糖鎖は. high mannose型からcomplex型へのglycosylationの段階でbisectのGlcNAcを有する2本鎖構造が形成され,このことにより少なくともB細胞の機能の一部が発現されると考えられた.
  • 高橋 豊, 有賀 正, 岡野 素彦, 大石 勉, 崎山 幸雄, 松本 脩三
    1986 年9 巻4 号 p. 256-260
    発行日: 1986/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    原発性免疫不全症候群13例について末梢単核細胞のNK活性およびNK細胞マーカーについて検索し以下の結果を得た.
    (1) DiGeorge症候群, T cell欠陥を主とする複合免疫不全症の各1例においてはNK活性は年齢相当か,むしろ高値でありLeu 7, Leu 11陽性細胞も成人レベルないしはそれ以上の比率で認められた.
    (2) ADA欠損症では低値ではあるが有意のNK活性が認められた.
    (3) WASの1例ではNK活性は低値を示したがLeu 7, Leu 11陽性細胞は正常に認められた.
    (4) CVI 7例ではNK活性はいずれも正常に認められたがLeu 7, Leu 11はむしろ高値を示すものが多かった.
    以上の結果よりNK細胞に関してそれぞれの疾患の性格, NK細胞とT細胞との関係, NK細胞とNK細胞マーカーとの関連について論じた.
  • 近藤 直実, 元吉 史昭, 平野 通子, 折居 忠夫
    1986 年9 巻4 号 p. 261-264
    発行日: 1986/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Wiskott-Aldrich症候群(WAS)の赤血球の膜糖タンパク糖鎖のうち,そのアスパラギン結合型糖鎖構造につき検索した.その結果,正常人およびWAS患児の赤血球膜のアスパラギン結合型糖鎖の酸性糖鎖の主要構造は共通して,複合型のうちのbisectのN-アセチルグルコサミンを有する2本鎖構造であり,ついで根本にフコースを有する単純2本鎖構造がみられ,根本にフコースを有さない単純2本鎖構造は認められなかった.なお,これらの2本鎖構造は非還元末端にシアル酸を1ないし2個有していた.以上のごとく主要構造は正常人とWAS患児間で量的な差は認められたが質的には差異を認めなかった.
  • 井石 安比古, 小阪 昌明, 岡川 和人, 星島 康男
    1986 年9 巻4 号 p. 265-274
    発行日: 1986/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    骨髄腫,マクログロブリン血症および良性M蛋白血症(BMG)の患者について,末梢血リンパ球がin vitroで産生するIgのκ/λ比と産生動態を検討した.骨髄腫ではB細胞の産生Igに単クローン化が観察され,マクログロブリン血症ではさらに著明な単クローン化が認められた. BMGでは単クローン化は認められなかった.骨髄腫患者の末梢血の単クローン性B細胞によるM蛋白の産生は, PWMの添加によっても増加せず,経時的産生動態も正常人で2相性であるのとは異なり直線的で, M蛋白産生にはhelper T細胞を必要としないと考えられた.また, M蛋白の産生量は正常人T細胞の添加によっても変化せず,骨髄腫で増加している抑制性細胞(Leu 2a++Leu 7+)の影響も受けないと考えられた.以上の成績は,骨髄腫とマクログロブリン血症では末梢血B細胞に単クローン化が存在し,それらは免疫調節細胞の関与なしにM蛋白分泌細胞に分化しうることを示すものである.
  • 基礎的条件の検討と臨床応用
    栗原 和幸, 永倉 俊和, 飯倉 洋治
    1986 年9 巻4 号 p. 275-281
    発行日: 1986/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    われわれは,少量の検体で単球遊走能を測定できる48 WeU Micro Chemtaxis Chamberを用いて,測定法の基礎的条件を検討した. Polycarbonate flter (polyvinyl pyrrdone-free, 5μmポア)を使い単球遊走能を測定した結果は,ザイモザン活性化血清(ZAS)およびN-formyl methiollyl-leucyl-phenylalanineに濃度依存性があり,上室内単球数の増加,遊走時間の延長に平行しており,正しく遊走能を反映していると考えられた.この方法で, theophyl-line, salbutamol sulfate, sodium cromoglycate, prednisoloneのin vitroでの単球遊走能への影響を調べたが有意な変動は認められなかった. MCLS患児についての検討では, CRP陽性群のケモタキシスインデックス(ZASに対する遊走数/ランダムミグレーション)がCRP陰性化群および正常対照群と比較して有意に低下しており,さらに,このインデックスがCRPの改善(低下)とともに上昇することが確認された.
  • FAB分類との対比
    青木 定夫, 木村 美奈子, 品田 章二, 柴田 昭
    1986 年9 巻4 号 p. 282-287
    発行日: 1986/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    FAB分類と対比する目的で20例の急性非リンパ性白血病(ANLL)細胞の解析をSpectrum IIIを用いて行い,サイトグラムと表面形質を検索した.対象症例はM1・M2各5例, M3 2例, M4・M5各4例であった.
    サイトグラムはM1・M2は主としてLM型を, M4・M5はMG型を示した. M1・M2の各1例がMG型が示したが,これらは形態学的にもM4・M5との鑑別が困難であった.表面形質はM1とM2, M4とM5がそれぞれ類似した結果であったが,前2者がMY7, MY9, Leu M1などの汎骨髄系抗原を認識する抗体のいずれかのみが陽性だったのに対し,後2者はそれに加え単球系の抗体であるMY4, Leu M3, OKM5が陽性となりこの2群の鑑別ができた.
    今回の成績をFAB分類と1:1に対応することはできないが,サイトグラムと表面形質の解析でANLLを明らかな2群,非単球性ANLL(M1・M2)および単球性ANLL(M4・M5)に分類することが可能であった.
  • 里見 定信, 辻 芳之, 李 勇鎬, 中川 晶子, 井上 幾雄, 片山 喬, 礒島 晋三
    1986 年9 巻4 号 p. 288-297
    発行日: 1986/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    recombinant interleukin 2 (rIL-2)とIL-2依存性のcell line (NKC-3)の系を用いて精漿中の免疫抑制物質の作用機序について検討した.精漿の添加によりNKC-3 cellのIL-2 responseが阻害され3H-thymidineの取り込みの著明な低下がみられた.しかしながらIL-2非依存性のcell lineであるNS-1やYAC-1に精漿を加えても,この抑制はみられなかった.また, harvest 6時間前の精漿の添加では抑制効果がみられなかった.この精漿中のIL-2抑制物質はゲル濾過にて分子量74万以上の巨大分子であり,また105,000 G, 2時間の超遠心を行うと沈殿側に抑制活性が移動することがわかった.精漿とIL-2を混合後,超遠心により沈殿側に抑制物質が移動すると上清にはほぼ100% IL-2活性が回収され,精漿中の免疫抑制物質はIL-2に直接効果を及ぼさないことが示唆された.精漿存在下のNKC-3 cellは洗浄により精漿を除くとIL-2のresponseを回復した. 125I-rIL-2のNKC-3 cellへの結合は,精漿濃度依存性に抑制された.さらにIL-2 receptorに対するmonoclonal抗体(3C7, 7D4)を用いたflow cytometryにおいて,精漿によりIL-2 receptorに対するmonoclonal抗体の結合の低下がみられた.以上により,精漿は細胞側のIL-2 receptor siteに作用してIL-2の効果を抑制することが示唆された.
  • 井上 光洋, 佐波古 和博, 富田 泰, 川上 正人, 宮城 憲一, 佐藤 恒久, 東 威, 打越 敏之
    1986 年9 巻4 号 p. 298-303
    発行日: 1986/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は57歳男性.昭和56年6月気管支喘息と診断され治療を受けていたが,昭和58年9月,発熱,多発性関節痛腹痛,下痢および四肢末梢のシビレ感出現のため入院.入院時白血球数27,700,好酸球69.5%,血沈51mm (1時間), CRP 2+, RAT (-), ANA (-), IgE 2, 326U/mlであった.皮膚筋生検組織所見では,血管周囲に軽度の好酸球浸潤を認めたが,明らかな血管炎や肉芽腫の所見はみられなかった. prednisolone 60mg/日の使用で,症状,検査所見に劇的な改善を認めたが,末梢神経症状は軽快したものの消失するには至らなかった.本症例は,特異的な組織所見を欠くために, allergic granulomatous angiitis (AGA)とは診断できなかったが, hypereosinophilic syndrome (HES)のなかには本症例のように,臨床的にはAGAといえる症例が含まれると考えられる.
  • 湯原 孝典, 松村 高幸, 山根 一秀, 鈴木 博史, 河野 一郎, 椛島 悌蔵, 柏木 平八郎
    1986 年9 巻4 号 p. 304-308
    発行日: 1986/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は23歳女性で, 15歳時に多関節痛で発病,血小板減少,白血球減少,抗核抗体陽性,蝶形紅斑,日光過敏症,抗DNA抗体陽性の存在により全身性エリテマトーデス(以下SLEと略す)としてプレドニゾロン(以下PSLと略す)の投与を受けた.昭和59年4月ごろ(22歳)より血清補体価の低下がみられたがPSL 40mg/日の投与で改善なく,さらに同年12月よりじんま疹様皮疹が出現するようになった.皮膚生検の結果leukocytoclastic vasculitisに一致する組織像を得た.メチルプレドニゾロンによるパルス療法を行ったところ,皮疹は速やかに消失し血清補体価も正常化した. SLEに伴う, leukocytoblastic vasculitisの組織像を呈するじんま疹様皮疹の臨床的意義について,文献的考察を加えて報告した.
  • 清水 宏明, 市川 幸延, 内山 光昭, 高屋 正敏, 守内 順子, 小川 純一, 井上 宏司, 正津 晃, 有森 茂
    1986 年9 巻4 号 p. 309-315
    発行日: 1986/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    重症無力症(以下MGと略す)は,高率に胸腺過形成あるいは胸腺腫などの胸腺異常を伴い,胸腺・胸腺腫摘出術によりMG症状の改善が得られることが知られている.通常,胸腺腫を合併した患者ではMG症状の自然寛解はまれで,胸腺腫の進展に伴いMG症状が増悪し,胸腺腫摘出あるいは放射線療法などの胸腺腫に対する治療が奏効した場合にMG症状も改善することもあると考えられている.しかし,われわれが検索した限りでは胸腺腫合併MGにおいて,胸腺腫の再発とMG症状の関係を明確にした報告を見出すことはできなかった.
    今回,われわれは胸腺・胸腺腫摘出術後, MG症状はほぼ完全寛解した後に,胸腺腫は再発したがMG症状の再然を認めなかった胸腺腫合併MGの1例を経験した.このような症例はMGと胸腺,胸腺異常との関連を考えるうえで示唆に富む症例と考えられたので報告する.
    症例は40歳女性. 1977年4月眼瞼下垂にて発症.同年6月Osserman分類でII AのMGと診断.気縦隔造影にて胸腺腫の存在を認めたため同年7月外科的摘出を施行した.胸腺腫は胸膜の一部と〓着していたが,これを含め非腫瘍性胸腺とともに全摘した.術後MG症状は徐々に改善し3年後には抗コリンエステラーゼ剤もまったく不要となった.術後6年後に胸腺腫の再発を認めたがMG症状は寛解状態を維持し続けた.この間,抗アセチルコリン受容体抗体価にも変動を認めなかった.
    本症例のMG症状と胸腺腫および非腫瘍性胸腺との関連について考えると,胸腺腫そのものはMG症状の発現には関与しておらず,非腫瘍性胸腺がMG症状の発現に関与していたと考えられる.
    文献的には,胸腺腫摘出後にMGが発症した例や,胸腺腫摘出後に寛解状態にあったMG症状が再出現した例,胸腺腫摘出後にMG症状が急性増悪した例,寛解状態にあったMG患者で胸腺腫がはじめて認められるようになったときにMG症状が再出現しなかった例などが報告されており,本症例も含めて胸腺腫にはMG症状発現に促進的に働く場合,抑制的に働く場合および本症例のように一義的には関与していないと思われる場合のあることが示唆された.また経過中,胸腺腫以外に甲状腺腺腫および卵巣奇形腫を合併しており,胸腺異常と腫瘍性疾患との関連をうかがわせる症例であった.
  • 辻 孝夫, 松浦 一陽, 澤原 正彦, 冨田 治, 山口 秀文, 高橋 健二, 山吹 隆寛
    1986 年9 巻4 号 p. 316-319
    発行日: 1986/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    各種肝疾患と健常人血清合計476例についてHBVのポリマー化アルブミンレセプター抗体(pAR抗体)をELISA法の抑制試験を用いて測定した.その結果, HBs抗体陽性群ではpAR抗体を高率(12.9%~75.0%)に検出し,しかも病型が肝硬変へと進展するにつれて高頻度になっていることがわかった.また, HBs抗原陽性の慢性肝炎活動性例のS-GPTの変動とpAR抗体価の変動は一致し,このHBV-pARをB型肝炎での肝細胞壊死のための標的抗原の1つに考慮しておく必要性があることを強調した.
  • 辻 孝夫, 澤原 正彦, 松浦 一陽, 冨田 治, 山口 秀文, 高橋 健二, 長島 秀夫
    1986 年9 巻4 号 p. 320-323
    発行日: 1986/08/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    B型肝炎ウイルス(HBV)には,ヒト肝細胞へ接着するためにポリマー化ヒトアルブミンのレセプター(HBV-pAR)の存在が知られているが,その詳細は不明である.著者らはこのHBV-pARのpeptidesを同定するために精製HBs抗原粒子を用いSDS-PAGE, Western-blotting法, HPLC法を行った.その結果, HBV-pAR活性は,単クローン抗体(TS-1) HRPO-pHSAの両者により,ともに67, 52, 35, 31, 8Kdの5種のbandsで, HBs抗原は67, 52, 35, 31, 27, 22Kdの6種のbandsに一致した.また, 67KdはHPLCのMono-Qにより3~4種のHBV-pAR活性のあるpeptidesがアルブミンと混在する複合体であることがわかった.したがって, HBV-pARは8Kdが基本になって他の活性のあるpeptideも構成されている可能性があり, HBVワクチン開発にはこのpeptideが有効性があることが示唆された.
feedback
Top