日本臨床免疫学会会誌
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B型肝炎ウイルスのポリマー化アルブミンレセプターの性状
辻 孝夫澤原 正彦松浦 一陽冨田 治山口 秀文高橋 健二長島 秀夫
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1986 年 9 巻 4 号 p. 320-323

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抄録
B型肝炎ウイルス(HBV)には,ヒト肝細胞へ接着するためにポリマー化ヒトアルブミンのレセプター(HBV-pAR)の存在が知られているが,その詳細は不明である.著者らはこのHBV-pARのpeptidesを同定するために精製HBs抗原粒子を用いSDS-PAGE, Western-blotting法, HPLC法を行った.その結果, HBV-pAR活性は,単クローン抗体(TS-1) HRPO-pHSAの両者により,ともに67, 52, 35, 31, 8Kdの5種のbandsで, HBs抗原は67, 52, 35, 31, 27, 22Kdの6種のbandsに一致した.また, 67KdはHPLCのMono-Qにより3~4種のHBV-pAR活性のあるpeptidesがアルブミンと混在する複合体であることがわかった.したがって, HBV-pARは8Kdが基本になって他の活性のあるpeptideも構成されている可能性があり, HBVワクチン開発にはこのpeptideが有効性があることが示唆された.
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