日本臨床免疫学会会誌
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尿細管性アシドーシスを伴うprimaryシェーグレン症候群
母娘例の症例報告とHLA-DRW9との相関について
今野 孝彦中村 透
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1986 年 9 巻 6 号 p. 433-440

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抄録
文献上第4例目と考えられる家族内発症の尿細管性アシドーシス(RTA)を伴うシェーグレン症候群(SjS)を報告し, RTAを伴うSjSの遺伝的背景を検討した.自験RTA 12例のうち9例にSjSが存在し,家族調査の行われた8例中4例に家族内発症がみられ,いずれもSjSを基礎疾患としていた.また30例のprimary SjSのうち9例にRTAが発見された. HLAの検索では, HLA-DRW9のみがRTAを伴うSjSで有意の上昇を認めた.すなわちRTAを伴うSjS 9例中6例(66,7%)にHLA-DRW9が存在し,正常人コントロール(26.2%)およびRTAを伴わないSjS(14.3%)と比較しておのおのx2=7.3 (p<0.01)およびx2=5.9 (p<0.02 Yatesの補正)で統計上有意の上昇を認めた.
RTAを伴うSjSが別個の独立した疾患群である可能性と,家族内発症RTAの基礎疾患にSjSが深く関与している可能性を指摘した.
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