骨髄腫における液性免疫不全の発現機序を解明するために, Leu-7
+細胞のサブセット, NK細胞活性およびB細胞のIg産生に及ぼす影響を骨髄腫26例と正常人20例について解析した. Leu-7
+細胞のサブセットはtwo-color immunofluorescenceにより, NK細胞活性は末梢リンパ球をeffector,
51Cr標識K562細胞をtargetとして, B細胞のIg産生に及ぼす影響は末梢血より分取したLeu-7
+細胞と正常単核球との混合培養により検討した.骨髄腫の末梢血Leu-7
+細胞は33.4±11.0%で正常人の20.5±4.9%に比べ有意に増加し, Leu-7
+ Leu-2a
+/Leu-7
+比率(x)は52.6±13.1%で正常人29.5±12.3%に比べ約2倍に増加し,血中単クローン性Ig濃度(y)と相関(y=67.6x+286, r=0.55)を示した. NK細胞活性は骨髄腫48.6±22.9%,正常人53.1±15.0%で有意の差はなかった.混合培養の結果,骨髄腫のLeu-7
+細胞は正常人のそれに比べIgG, IgA, IgMのすべての産生を強く抑制した.以上の成績から, T抗原(とくにLeu-2a)をco-expressしたLeu-7
+細胞はNK細胞活性は低いが,骨髄腫におけるresidual Ig減少などの液性免疫不全に関与していることが明らかにされ,これらの細胞の増加は骨髄腫細胞によって誘導されている可能性が示唆された.
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