日本臨床免疫学会会誌
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9 巻, 6 号
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  • 鎌谷 直之
    1986 年9 巻6 号 p. 423-432
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 母娘例の症例報告とHLA-DRW9との相関について
    今野 孝彦, 中村 透
    1986 年9 巻6 号 p. 433-440
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    文献上第4例目と考えられる家族内発症の尿細管性アシドーシス(RTA)を伴うシェーグレン症候群(SjS)を報告し, RTAを伴うSjSの遺伝的背景を検討した.自験RTA 12例のうち9例にSjSが存在し,家族調査の行われた8例中4例に家族内発症がみられ,いずれもSjSを基礎疾患としていた.また30例のprimary SjSのうち9例にRTAが発見された. HLAの検索では, HLA-DRW9のみがRTAを伴うSjSで有意の上昇を認めた.すなわちRTAを伴うSjS 9例中6例(66,7%)にHLA-DRW9が存在し,正常人コントロール(26.2%)およびRTAを伴わないSjS(14.3%)と比較しておのおのx2=7.3 (p<0.01)およびx2=5.9 (p<0.02 Yatesの補正)で統計上有意の上昇を認めた.
    RTAを伴うSjSが別個の独立した疾患群である可能性と,家族内発症RTAの基礎疾患にSjSが深く関与している可能性を指摘した.
  • 斉藤 芳国, 井石 安比古, 小阪 昌明
    1986 年9 巻6 号 p. 441-449
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    骨髄腫における液性免疫不全の発現機序を解明するために, Leu-7+細胞のサブセット, NK細胞活性およびB細胞のIg産生に及ぼす影響を骨髄腫26例と正常人20例について解析した. Leu-7+細胞のサブセットはtwo-color immunofluorescenceにより, NK細胞活性は末梢リンパ球をeffector, 51Cr標識K562細胞をtargetとして, B細胞のIg産生に及ぼす影響は末梢血より分取したLeu-7+細胞と正常単核球との混合培養により検討した.骨髄腫の末梢血Leu-7+細胞は33.4±11.0%で正常人の20.5±4.9%に比べ有意に増加し, Leu-7+ Leu-2a+/Leu-7+比率(x)は52.6±13.1%で正常人29.5±12.3%に比べ約2倍に増加し,血中単クローン性Ig濃度(y)と相関(y=67.6x+286, r=0.55)を示した. NK細胞活性は骨髄腫48.6±22.9%,正常人53.1±15.0%で有意の差はなかった.混合培養の結果,骨髄腫のLeu-7+細胞は正常人のそれに比べIgG, IgA, IgMのすべての産生を強く抑制した.以上の成績から, T抗原(とくにLeu-2a)をco-expressしたLeu-7+細胞はNK細胞活性は低いが,骨髄腫におけるresidual Ig減少などの液性免疫不全に関与していることが明らかにされ,これらの細胞の増加は骨髄腫細胞によって誘導されている可能性が示唆された.
  • 自験13例(15分娩)の検討
    熊谷 俊一, 藤田 宗, 波内 俊三, 佐野 統, 鍔田 武志, 井村 裕夫, 杉之下 俊彦, 恒松 徳五郎, 佐川 典正, 森 崇英
    1986 年9 巻6 号 p. 450-460
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    当院で妊娠分娩したSLE患者13例(15分娩)について,妊娠前および妊娠中の活動性,妊娠中および分娩後の治療と,妊娠の経過や分娩後の母子の経過について検討した.活動期に妊娠した6例(妊娠中発症3例を含む)中, 3例は流早産した.この6例に対して, 3例では妊娠中十分量のステロイド剤(ス剤)投与を行い母親は救えたが,十分量の投与を行わなかった3例は分娩後腎不全などで死亡した.非活動期に妊娠した7例(9分娩)は,妊娠中病勢の増強をみた例もあったが,全例母子とも経過良好であった.分娩後は13例(15分娩)中11例(13分娩)で十分量のス剤投与を行ったが2例(死亡例)では少量投与であった.私どもは,重篤な臓器障害がなく,妊娠前6ヵ月以上の非活動期を経た患者を分娩可能とし,妊娠中は必要十分量のス剤投与を行い,分娩後は増悪の有無によりプレドニゾロン30~60mgよりの投与を行っている.
  • 岡 暢之, 野津 和巳, 香月 進, 野手 信哉, 久野 昭太郎, 鍋谷 登, 一色 玄, 桜美 武彦
    1986 年9 巻6 号 p. 461-467
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    小児I型糖尿病例における免疫グロブリン(IgG, A.M)濃度と膵島細胞抗体(ICA)および罹病期間との関連,日本人I型小児糖尿病例における選択的IgA欠損症の頻度などを明らかにするために, I型小児糖尿病123例について,各免疫グロブリン濃度を測定し,以下の結論を得た.
    1)小児I型糖尿病におけるIgA濃度は,正常小児に比し有意に高値となった. 2)罹病期間と各免疫グロブリン濃度との間には,一定の傾向は存在しなかった. 3)ICAの有無で各免疫グロブリン濃度を比較したが, ICA陽性群,陰性群の間で差はなかった. 4)罹病期間およびICAの有無との関連で,各免疫グロブリン濃度をみた場合, IgMに関しては,罹病期間1年未満で, ICA陽性群において陰性群よりも有意に高値を示した. 5)123例中2例(1.6%)において,選択的にIgAが欠損しているのが認められた.
    以上より,発症早期のICA陽性例ではIgM値が高く, ICAの出現とウイルス感染が何らかの関与をしている可能性があること,小児I型糖尿病におけるIgA欠損症の頻度は,欧米に比し,やや低値を示すことが示唆された.
  • 松嶋 広, 宮地 清光, 樋渡 恒憲, 神谷 知至, 桐生 恭好
    1986 年9 巻6 号 p. 468-475
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    原発性胆汁性肝硬変症(PBC)のマーカー抗体である抗ミトコンドリア抗体(AMA)は,二重免疫拡散(DID)法にて,少なくとも3種類以上の沈降性AMA(抗M-A, M-B, M-C抗体)に分類されることを報告した.本稿では,それらのAMAの対応抗原の特性と精製について検討した.おのおののミトコンドリア(M)抗原は, DEAE-sephacelカラムでは0.1~0.3M NaCl濃度勾配にて溶出された. Sepharose 6Bカラムでは,おのおのの抗原が310kd, 240kd, 155kdに溶出され,分離が可能であった.それらの抗原を用いて対応抗原の推定分子量をイムノブロット法にて検討した結果, M-A抗原が41kd, M-B抗原が50kd, M-C抗原が31kdであった.また抗M-A, M-B抗体陽性血清のIgGを用いアフィニティーカラムを作成し,抗原を精製した結果, 80μg/mlの抗原濃度で抗M抗体を検出可能となり,粗M抗原の濃度に比し約1,000倍の精製が可能であった.この精製抗原はイムノブロット法にて検討した結果, 41kd, 50kdにバンドを認めM-A, M-B抗原活性を確認した.
  • 彌重 博巳, 今西 仁, 西田 一弘, 堀池 重夫, 横田 昇平, 阿部 達生, 瀧野 辰郎, 彌重 いづみ
    1986 年9 巻6 号 p. 476-483
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は58歳女性で, 1983年より失神発作,全身倦怠感を訴え,低ガンマグロブリン血症の精査のため1984年8月17日当院に入院した.入院時,赤沈亢進,連銭形成を認めたものの,総蛋白6.3g/dl,ガンマグロブリン8.2%と低下していた.眼底検査では静脈のソーセージ様変化がみられ, hyperviscosity syndromeの存在を確認した.熱性蛋白を調べると, Raynaud現象は認めなかったが,クリオゲルグロブリンが検出された.クリオゲルグロブリンは,クリオクリットで60%と大量に認められた.全血清,上清,ゲル部分で蛋白分画および免疫グロブリン量について検討したところ,上清部分ではいままでの検査結果とほぼ同様で低ガンマグロブリンを示し,全血清およびゲル部分ではγ位にmonoclonal peakが認められ, IgMは全血清で2,700 mg/dl,ゲル部分で3,360 mg/dlであった.血清蛋白検査で,クリオゲルグロブリンは単クローン性IgM, kと多クローン性IgGの混合型であることが確認された.骨髄ではプラズマ細胞5.2%,リンパ球様細胞1.6%を認めた.こうして,本例はクリオゲルグロブリンを伴った原発性マクログロブリン血症と診断された.項部不快感を頻回に訴えるようになったためプロカルバジンを投与したところ,治療後症状は消失しクリオクリットも31%にまで低下した.
  • 池脇 信直, 中辻 孝子, 猪子 英俊, 安藤 麻子, 鮑 雲華, 辻 公美
    1986 年9 巻6 号 p. 484-494
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Epstein-Barr virus (EBV)で形質転換したヒトBリンパ芽球細胞株EBV-SA (HLA-A 24, B 7, C-, DR 1, DQ 1, DP 4)を免疫原として得られた単クローン抗体(Sa 3)はEBV形質転換Bリンパ芽球細胞株,バーキットリンパ腫, Pre-B細胞株および末梢血B細胞に反応し,ヒト株化T細胞, Myeloid細胞株および末梢血T細胞に反応しない抗体であることがわかった.またSa 3の検出する抗原の各構成鎖を2次元電気泳動法で解析したところ,分子量31~34kdのα鎖と分子量25~29 kdのβ鎖よりなるヘテロダイマーを沈降させることがわかった.すなわちSa 3はHLAクラスII (DR, DQ, DP)抗原を認識する抗体であることがわかった.さらに,その反応性を明確にする目的でHLAクラスII抗原遺伝子(DQ抗原のα鎖とβ鎖およびDP抗原のα鎖とβ鎖)をリポソーム法を用いて導入した形質転換細胞との反応性を検討したところ, DQおよびDP抗原と反応することが観察された.
    また,リンパ球混合培養反応およびPWM刺激末梢血の抗体産生を著明に抑制した.
    以上の結果より,今回作製された単クローン抗体(Sa 3)は,ヒトのHLAクラスII抗原を認識する抗体でヒトの免疫応答を細胞レベルで解析できる有用な抗体であることが示唆された
  • 藤井 昌彦, 今 充, 山中 祐治, 小田桐 弘義, 森田 隆幸, 佐々木 睦男, 小野 慶一
    1986 年9 巻6 号 p. 495-501
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    最近,酸処理における特異的major histocompatibility complex class I除去に伴いLAK活性が増強することが報告されている.今回われわれはMeth A細胞によるマウス癌性腹膜炎モデルに対しin vivo酸処理を施行しその生存率曲線に対する影響をみた. in vitroにおける51Cr細胞障害試験では酸処理Meth A細胞のLAK活性は著明に増強していた.またin vivo短時間腹腔内酸処理は麻酔下においては何ら障害なく施行可能であり個体死は認めなかった.マウス癌性腹膜炎の系に対する延命効果は, LAK単独移入群および酸処理単独群において認めなかったが,酸処理付加LAK移入群では有意(p<0.01)の延命効果が認められた.また, IL-2投与群およびLAK-IL-2投与群ではこの系に対する治療効果が認められたが,おのおの前処置として酸処理を付加した群ではより著明な延命効果を認めた.今後adoptive immunotherapyに際して,短時間酸処理を付加することにより,より強い効果増強が得られる可能性が示唆された.
  • 山岡 國士, 宮坂 信之, 佐藤 和人, 窪田 哲朗, 山田 隆, 西戸 孝昭, 奥田 正治, 青木 延雄
    1986 年9 巻6 号 p. 502-506
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    今回,われわれは典型的な皮膚筋炎(DM)に難治性間質性肺炎を合併した一症例を経験したが,本例はステロイド療法中に再発性の縦隔気腫を併発し呼吸不全にて死亡した.文献上,われわれが調べ得た限りではDMにおける縦隔気腫の合併はきわめてまれであるが,治療法の進歩により, PM/DMの長期予後が改善されていることとあいまって,縦隔気腫がPM/DMのあらたな合併症として認識する必要性も考えられ,ここに報告する.
  • 若杉 なおみ, 佐藤 隆美, 小沢 直宏, 清水 勝, 鴨下 重彦
    1986 年9 巻6 号 p. 507-513
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    IgA単独欠損症の7歳児に認められた抗IgA抗体のサブクラスおよびアロタイプ特異性について検索を行った.その結果,本症例はクラス特異的抗α抗体のほかにサブクラス特異的抗α2抗体およびアロタイプ特異的抗A2m (1)抗体を同時にもっていることが見出された.母のIgA typeがA 2m (1) (+), (2) (-)であること,また母乳投与も受けていることから母由来のIgAによって感作された可能性が高いと推測される.一方,患児の末梢単核球は, OKT4+/T8+比の低下などを示すほかに, IL-2およびIFN-γの産生欠如が認められた. IFN-γはIL-2を加えることにより正常に回復した. IL-2およびIFN-γはB-cell分化にとって重要な役割を担っており,これらの結果はIgA単独欠損症におけるB-cell分化にかかわるT-cellの機能異常を示唆するものとして興味深い.
  • 無量井 泰, 高井 修, 山陰 敬, 玉手 英一, 上遠野 武文, 関口 幸雄, 佐々木 毅, 吉永 馨, 鈴木 勃志, 大槻 昌夫, 森 ...
    1986 年9 巻6 号 p. 514-520
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)における肝障害は軽微であり,治療上重要視されていない.われわれは一見subclinicalにみえたが進行性の肝障害を主徴として死亡したSLEの一剖検例を経験した.症例は12歳女性で,溶血性貧血,蛋白尿,抗ssDNA抗体陽性,持続性の凝固異常,低アルブミン血症,低補体血症が目立った. ICG 31.6%, HBs抗原,抗体陰性,腹腔鏡では慢性活動性肝炎像を呈した.ステロイド剤にアザチオプリンを併用したが,免疫学的に活動性であったためパルス療法を施行した.しかしDICおよび急激な肝機能の悪化を生じ死亡した.剖検では肝にPortal area,小葉内の単核細胞の中等度浸潤, massive necrosisを伴う肝硬変の初期像を認めた.臨床上,肝障害は多彩な免疫学的異常と相関して進行しており,本例はSLEにおける肝障害の予後的指標としての可能性を示すものかも知れない.
  • 佐藤 圭子, 平野 隆雄, 上田 晃, 橋本 博史, 廣瀬 俊一
    1986 年9 巻6 号 p. 521-526
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Systemic lupus erythematosus (SLE)の再然で入院しpulse療法後, Staphylococcus aureus感染による心膜心タンポナーデを合併した一例を報告する. 40歳女性. 37歳のとき,日光過敏症にてSLEを発症.プレドニン治療にて外来通院中であったが,歯科治療後の化膿性リンパ節炎のため抗生剤投与を受けた.以後,顔面四肢の浮腫,顔面紅斑増強,微熱のため, SLEの薬剤による再燃と診断しpulse療法を施行した.
    諸症状は改善傾向を示したが,第26病日,呼吸困難・血圧低下・奇脈出現.心臓超音波にて多量の心嚢液貯留を認め,開胸ドレナージを行った.心嚢液よりS. aureusが検出され,同菌に感受性の抗生剤治療にて改善した.
    SLEにおける心膜炎の合併は高頻度であるが,本例は, S. aureusによる感染性心膜外炎であること,しかも心タンポナーデにまで進行したことでまれである.また,薬剤誘発によるSLE再燃で,心タンポナーデに前後して起こった表在性静脈炎,ステロイド大量療法などの因果関係が興味深く,比較的まれな症例と考えられる.
  • 二宮 千穂, 谷口 修, 山口 泰, 橋本 博史, 廣瀬 俊一
    1986 年9 巻6 号 p. 527-533
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,比較的まれとされる慢性関節リウマチ(RA)と全身性エリテマトーデス(SLE)のoverlap症候群で,さらにシェーグレン症候群の合併が示唆された症例を経験したのでここに報告する.
    本例は10年来definite RAとして治療中,口腔潰瘍,胸膜炎,溶血性貧血,リンパ球減少, LEテスト陽性,各種自己抗体陽性を示し,さらに皮膚生検によるband test陽性所見よりSLEと診断され,また乾燥症状,乾燥性角結膜炎よりシェーグレン症候群の合併が示唆された症例で,プレドニゾロンの投与により貧血,胸膜炎などの臨床所見の著明な改善を認めた.
    一般に, RAとSLEのoverlap症候群の頻度は少なく,本例は膠原病の各疾患単位を考えるうえで示唆に富むものと思われた.
  • 杉山 英二, 森岡 尚夫, 山下 直宏, 矢野 三郎
    1986 年9 巻6 号 p. 534-541
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例, 64歳男性.全身性リンパ節腫脹を主訴に入院.血清IgMが3,650 mg/dlと著増,免疫電気泳動によりIgM-κ型M蛋白と同定された.リンパ節,骨髄ではリンパ球系腫瘍細胞が増殖しており,酵素抗体法により腫瘍細胞の細胞質にIgM, κ型L鎖の特異的な沈着を認め原発性マクログロブリン血症と診断した.経過中,左末梢性顔面神経麻痺,右舌咽,右迷走神経麻痺が出現.頭部CT検査では造影剤で増強する多発性高吸収域がみられ,髄液細胞診ではリンパ球系腫瘍細胞を認めたため腫瘍の髄膜,脳浸潤と診断した.再入院後,項部強直,痙攣が出現し意識障害が急激に進行し死亡した.原発性マクログロブリン血症にみられる神経症状の多くは過粘度症候群の一症状と考えられているが,本症例は腫瘍細胞の中枢神経系への直接浸潤が推定されるまれな症例である.
  • Arachidonic acid代謝産物と好中球遊走
    加藤 治樹, 谷川 真理, 金 龍起, 佐野 統, 山村 義治, 杉野 成, 近藤 元治
    1986 年9 巻6 号 p. 542-546
    発行日: 1986/12/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    癌性胸膜炎,癌性腹膜炎に対してOK-432を腔内投与した際,腔内に遊出してくる好中球による抗腫瘍作用が示されている.このときの好中球遊出に補体由来のC 5aの関与が考えられ, OK-432と補体源としての凍結結漿を同時に腔内に投与したところ, C 5aだけでなくarachidonic acid代謝産物中のTXB2とLTB4の増加も好中球数の増加に先立ってみられた.このことから,これらのarachidonic acid代謝産物も好中球遊出に関与する可能性が示された.
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