抄録
当院で妊娠分娩したSLE患者13例(15分娩)について,妊娠前および妊娠中の活動性,妊娠中および分娩後の治療と,妊娠の経過や分娩後の母子の経過について検討した.活動期に妊娠した6例(妊娠中発症3例を含む)中, 3例は流早産した.この6例に対して, 3例では妊娠中十分量のステロイド剤(ス剤)投与を行い母親は救えたが,十分量の投与を行わなかった3例は分娩後腎不全などで死亡した.非活動期に妊娠した7例(9分娩)は,妊娠中病勢の増強をみた例もあったが,全例母子とも経過良好であった.分娩後は13例(15分娩)中11例(13分娩)で十分量のス剤投与を行ったが2例(死亡例)では少量投与であった.私どもは,重篤な臓器障害がなく,妊娠前6ヵ月以上の非活動期を経た患者を分娩可能とし,妊娠中は必要十分量のス剤投与を行い,分娩後は増悪の有無によりプレドニゾロン30~60mgよりの投与を行っている.