2020 年 3 巻 3 号 p. 413-419
福島県立医科大学附属病院皮膚科において1995年以降の25年間に経験した肥満細胞症患者30例について, 後方視的検討を行った。小児発症例が27例 (90%) と大半を占め, 成人発症例は3例 (10%) のみであった。男女比は2 : 1で男性に多かった。全症例が皮膚肥満細胞症で, うち小児発症例においては斑状丘疹状肥満細胞症 (色素性蕁麻疹) 81%, 肥満細胞腫19%, 成人発症例は全例斑状丘疹状肥満細胞症であった。小児期に発症し15歳まで蕁麻疹発作が持続した1例で消化器症状を伴ったが, 腸管の組織学的検査は未施行であった。本症は成人発症例, 難治性の小児発症例, びまん性皮膚細胞症は他臓器病変を有するリスクが高い。このような症例においては組織学的検査を含めた全身検索を積極的に施行し, 他科と連携して慎重に経過観察する必要がある。
(日本皮膚免疫アレルギー学会雑誌, 3 (3) : 413-419, 2020)