抄録
本研究は、ベンチプレスにおける最大挙上重量(1RM)の体
重比に着目し、最大筋力と最小速度閾値(MVT)との関連性を
明らかにすることを目的とした。健常な男女大学生189名を対象
にベンチプレス1RM測定を実施した。その結果、ベンチプレスの
相対強度と平均速度との間には、非常に強い負の相関関係が認
められ、1RM体重比とMVTの間には、弱い負の相関関係が認
められた。また、1RM体重比の上位群と下位群を比較した結果、
1RM体重比は、上位群が下位群より有意に大きく、MVTは、上
位群が下位群より有意に小さかった。さらに両群において相対強
度と平均速度との間には、非常に強い負の相関関係が認められ、
それぞれ回帰式が得られた。このことから、ベンチプレスでの相
対強度と平均速度の関係は、極めて安定した値であることが明
らかとなり、MVTは、トレーニング熟練度の要因の影響を受ける
可能性が示唆された。