日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第33回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 1-8
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IL-6阻害治療による血清アミロイドA (SAA) の正常化機構は、STAT3とNF-κB p65のクロストーク阻害の結果である
*萩原 圭祐西川 哲平宋 健吉崎 和幸
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抄録

昨年、我々は、IL-6阻害治療により、急性炎症蛋白であるSAAの正常化が見られる機構を、SAAリアルタイム定量的RT-PCRの系で解析し、複数のサイトカインによるSAAの相乗発現においてIL-6が必須であり、従来関与の言われていなかったJAK-STAT系が重要であることを報告した。しかし、ヒトSAA1のプロモーター領域には、既知のSTAT3の結合領域は報告されていない。そこで、ルシフェラーゼアッセイによるプロモーター解析を行ったところ、STAT3がSAA1の相乗発現に必須であり、NF-κB結合領域を介し、SAA1の相乗発現を誘導することが明らかになった。EMSAにより転写複合体にSTAT3が存在することを確認し、さらに、免疫沈降及びDNA affinity chromatographyにより、STAT3がNF-κB p65と複合体を形成し、NF-κB結合領域近傍に結合することを確認した。さらに、STAT3が転写共役因子であるP300を誘導しSAAの相乗発現に寄与することが明らかになった。以上のことからIL-6阻害治療がSAAを正常化する機構は、NF-κB p65とSTAT3のクロストークを阻害する結果であり、SAAの過剰産生により引き起こされるAAアミロイドーシスの治療にSAAの産生を抑制するIL-6阻害治療が有効であることが転写レベルで裏付けられた。

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© 2005 日本臨床免疫学会
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