主催: 京都大学大学院医学研究科 内科学講座 臨床免疫学
〔目的〕22q11.2欠失症候群におけるT細胞の年齢変化と遺伝子発現を解析し、易感染性と自己免疫に関与する異常を検討する。
〔対象と方法〕22q11.2欠失:15例、年齢相応対照:32例。末梢リンパ球をFACSにて経時的に解析した。末梢血T細胞を分画しサイトカイン遺伝子発現をreal-time PCRで定量した。
〔結果〕成人までの観察期間中、患者のCD3+, CD4+T, αβT およびCD8αα+細胞数は対照より少なくCD56+細胞数は多かった。患者のT細胞とCD4+T細胞の割合は加齢に伴い変化なかったが、いずれも数の減少は対照より緩やかであった。γδT細胞は健常者と差がなかった。 健常者のCD8αα+細胞の割合は加齢に伴い上昇し、傾きは患者より大きかった。一方、患者Vα24+細胞の数と割合は加齢に従い上昇し、傾きは患者より大きい傾向にあった。T細胞数とCD8αα+細胞数の正の相関は患者でのみ、T細胞数とVα24+細胞数の相関は対照でのみみられた。患者T細胞のIFNγ, IL-10, TGFβ, CTLA4および Foxp3遺伝子発現は対照と差がなかった。
〔結語〕22q11.2欠失症候群のT細胞は胸腺非依存性T細胞の変化に伴い緩やかに減少し、サイトカイン遺伝子発現に偏位のないことが示された。本症ではT細胞の恒常性維持が示唆される。
共同研究者:池田,古野,田中,大野(同上),絹川(九大医療情報部)