主催: 聖マリアンナ医科大学 リウマチ・膠原病・アレルギー内科
【症例】67歳、女性【現病歴】2005年2月より多発関節痛を来たし、近医で関節リウマチ(RA)の診断にて5月より3ヶ月半MTXを内服するも症状は改善しなかった。8/31当院免疫・リウマチ内科初診。9/16よりエタネルセプト(Eta)を開始したところ、RAの活動性は低下し、有効であった。9月下旬より尿量減少、10/31外来受診時足背に浮腫を認め、血清アルブミンは著明に低下し、強度の蛋白尿も認め、ネフローゼ症候群と診断した。Etaの副作用の可能性が考えられたため同日よりEtaを中止し、12/2腎臓内科に精査加療目的で入院。【経過】Eta中止後蛋白尿は減少傾向にあったが、12/12よりプレドニゾロン(Pred)40mg/dayを開始した。その後も蛋白尿は徐々に減少してきたため12/19日よりPredを30mg/dayに減量し、12/27日退院。入院中に腎生検を施行。【考察】本症例ではRA歴が短期間であることより、RA性腎症は考えにくい。薬剤性の可能性としてはジクロフェナクナトリウムとEtaが考えられるが、投与時期と蛋白尿出現の時期とかその推移を考慮するとEtaによる副作用の可能性が強い。文献的にはEtaによって発症したと考えられるネフローゼ症候群症例は世界でも4例しか報告がなく、そうした症例とも本症例を比較検討したい。