日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第34回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 16-4
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一般演題
肺高血圧症を伴う膠原病に対するボセンタンの効果
*船内 正憲嶋津 秀紀玉置 千勢山形 俊昭野崎 祐史杉山 昌史生駒 真也木下 浩二
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抄録

近年の膠原病治療法の進歩にも拘らず治療抵抗例は少なくなく、特に肺高血圧症の合併は主要な死因の1つである。一方、血管内皮障害に伴って産生されるエンドセリンは肺高血圧症の病態に関与していると報告され、その受容体拮抗薬は肺高血圧症に対する治療薬として効果が期待されている。今回、肺高血圧症を伴う膠原病患者にエンドセリン受容体拮抗薬 ボセンタンを投与し、心肺機能の改善とともにレイノー現象、皮膚潰瘍の改善を認めたので報告する。対象は強皮症11例、混合性結合組織病1例、多発性筋炎1例、全身性エリテマトーデス1例の計14例。治療開始3カ月後にレイノー現象は9例中2例で消失し、他の症例も軽快傾向を示した。手指の潰瘍は3例全例で改善し、皮膚温の上昇を認めた。身体活動能力は6分間歩行距離が平均320 mから420 mと増加し、半数の症例で改善を示した。心エコー上、右室圧は平均44 mmHgから40 mmHgに、BNPは平均40.0 pg/mlから35.0 pg/mlに低下した。副作用は1例で発熱を認めたが一時的であり、他の1例でトランスアミナーゼの上昇を認めたが、用量を減量して投与を続行し得た。以上からボセンタンは肺高血圧症を伴う膠原病に対して有用な治療薬の一つと考えられ、引き続き経過観察中である。

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© 2006 日本臨床免疫学会
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