主催: 聖マリアンナ医科大学 リウマチ・膠原病・アレルギー内科
現在のぶどう膜炎(内眼炎)治療は、副腎皮質ステロイド・シクロスポリンを中心に行われている。これら免疫抑制薬の有効性は疑うべくもないが、炎症を繰り返す難治性症例では効果が不十分であり、本邦ではとりわけベーチェット病が問題になる。ベーチェット病は1:口腔内難治性アフタ潰瘍、2:結節性紅斑などの皮膚症状、3:虹彩毛様体炎・網脈絡膜炎(ぶどう膜炎)、4:外陰部潰瘍を主症状とする原因不明疾患であるが、特に眼症状は重篤である。前眼部および後眼部のぶどう膜炎発作を繰り返すうちに失明に至るケースも多く、本症患者のQOLを著しく低下させている。これまで発作期ベーチェット病患者の血液中でTNFZ度が上昇することが知られていた。そこで難治性眼ベーチェット病患者に対して、本邦で抗TNFR体(商品名:レミケイド)の多施設治験が行われた。この結果活動性の高いベーチェット病患者の網膜ぶどう膜炎発作頻度を抑制できることが示され、今後保険適応される見通しである。このように眼病変に薬効を期待できる一方で、投与するにあたり感染症増悪等の副作用に対して充分に配慮する必要がある。 ベーチェット以外の難治性ぶどう膜炎に対しても、主に海外で抗TNFR体が投与されている。講演ではベーチェット病に対する抗TNFR体の治験結果を中心に、難治性ぶどう膜炎に対する本薬剤の効果を、いくつかの文献をもとにレビューする予定である。