日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第34回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 15-10
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一般演題
シェーグレン症候群における唾液分泌量と唾液pHの関連および治療の及ぼす影響
*下山 久美子小川 法良鈴木 大介出井 良明齋藤 美和子林 秀晴
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抄録

目的:多発性齲歯を認める代表的疾患であるシェーグレン症候群(SS)と非SSコントロール(非SS)の唾液分泌量とpHを比較、検討した。SSに対するステロイド治療は重要臓器障害が存在する症例に対して行われ、口腔乾燥症に対する治療は唾液分泌促進剤や人工唾液が主体で、ステロイド療法の意義は確立されていない。しかし、ステロイド療法に反応し、腺機能改善を認める症例も散見される。そこでステロイド療法がSSの唾液分泌量とpHに与える影響を検討した。対象・方法:1) 外来通院患者 266例(SS 120例、非SS 141例、未確定5例)および、2) プレドニゾロン 15mg/日の投与を行ったSS 11例(治療開始後?12W、12?20W、21?36W、37W以降の5回)にサクソンテストを施行し、唾液pHをpH試験紙で測定した。結果:1) 全例において唾液分泌量と唾液pHは有意な正の相関を認めた(r=0.76, p<0.001)。SSの唾液量(1.64±1.61 ml/2min)およびpH(6.82±1.28)は、非SS唾液量(3.46±2.03 ml/2min)およびpH(7.82±1.21)と比べて有意に低下していた(p<0.001)。 プレドニゾロン投与例は、投与開始後20Wで唾液分泌量の有意な増加を認め(p<0.001)、唾液pHは有意に上昇した(p<0.01)。結語:唾液分泌量は唾液pHと関連を示し、口腔内環境に影響を与えている可能性が示唆された。またSSでは少量ステロイド投与により、唾液腺機能が回復する症例が存在し、ステロイド剤が有用な群が存在することが示唆された。

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© 2006 日本臨床免疫学会
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