主催: 聖マリアンナ医科大学 リウマチ・膠原病・アレルギー内科
【症例】58歳女性.1991年頃、関節リウマチを発症しメトトレキサートで加療されていた.2005年7月頃より上眼瞼・背部・四肢伸側の紅斑が出現、8月下旬より労作時呼吸困難が出現し、当科緊急入院.入院時にヘリオトロープ疹、四肢伸側の紅斑、ゴットロン徴候および手掌の丘疹を認めたが、四肢の筋力低下は認めなかった.血液検査ではCPK 173 IU/l,抗Jo-1抗体陰性、胸部CTでは間質性陰影を認め、血液ガスでは著明な低酸素血症を認めた.臨床的に筋症状を認めずADMに合併した間質性肺炎の可能性を考え、ステロイドパルス療法(1g/日3日間)・シクロフォスファミド静注療法(500mg/日)×2回・白血球除去療法(LCAP)×5回・タクロリムス3mg内服で加療を開始.約2ヵ月後に間質性肺炎の再増悪を認めたため、経口ステロイド・シクロスポリン150mg/日・LCAPに加え、シクロフォスファミド静注療法を1g/日に増量し1ヶ月ごとに 計6回施行.途中、縦隔気腫を併発したが安静とステロイド減量で消失し、呼吸状態・胸部CT所見・肺線維化マーカーのいずれも改善を認めた.ADMに合併する間質性肺炎はステロイドや免疫抑制剤などの治療に反応せず、数ヶ月以内に呼吸不全が進行する難治性の病態であるが、シクロフォスファミド静注療法を含めた集学的治療により間質性肺炎の改善を認めたADMの一例を経験し、若干の文献的考察を含め報告する.