主催: 聖マリアンナ医科大学 リウマチ・膠原病・アレルギー内科
【目的】プロテオミクスの手法を用いて、血管炎患者における抗内皮細胞抗体の対応抗原の同定を行う。【方法】ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)およびHeLa細胞からの抽出蛋白を2次元電気泳動で展開し、血管炎患者血清でWestern blotを行い、HUVEC特異的自己抗原を検出同定し,その臨床的意義を検討した。【結果】検出した約150個の蛋白の1つは、抗酸化酵素であるPeroxiredoxin2(Prx2)と同定され、抗Prx2抗体の陽性率は、血管炎患者で60%(高安動脈炎で86%)、健常人で4%であった。PeroxiredoxinのサブクラスであるPrx1およびPrx4とPrx2の抗原性は異なっていた。更に、間接免疫蛍光法にてHUVECの細胞表面にPrx2が発現していることを証明した。臨床的には抗Prx2抗体陽性血清では陰性血清に比べDダイマーおよびTATが有意に高値であり、抗Prx2抗体価は疾患活動性と相関していた。【考察】血管炎に特異的な新規マーカー抗Prx2抗体が同定された。なお、プロテオミクスの手法はAECAの対応抗原の同定に非常に有用であった。