日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第34回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 15-14
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一般演題
膠原病症状を呈し、Epstein-Barrウイルス感染症と診断された一例
*高橋 令子平林 泰彦石井 智徳高澤 徳彦岡 友美子尾崎 泰佐々木 毅
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抄録

患者は54歳、女性。平成9年、関節痛、皮疹、発熱が出現し、白血球増多、フェリチン上昇、肝機能障害などより成人発症スティル病と診断された。プレドニン100mg/日の投与を行うも改善せず、ステロイドパルス、エンドキサンパルスも併用し、軽快した。加療の間に敗血症も発症した。平成16年、発熱、炎症反応上昇、皮疹が出現し、再度精査が行われた。Epstein-Barrウイルス(EBV)のVCA IgG抗体価が異常高値、EA抗体陽性を示したため、末梢血リンパ球にてEBV DNAのコピー数をPCRにて検査したところ、1500コピー/μg DNAを認めた。リンパ球をB、T、NK細胞に分離し感染細胞の同定を試みた所、T、NK細胞には存在せず、B細胞のみに認めた。clonalityはpolyclonalであった。ステロイド投与のみで炎症反応、発熱は持続のコントロールはつかず、また血圧の維持困難、低酸素血症、肺高血圧が存在したため、VP-16、シクロスポリンの投与を開始し、軽快した。しかしながら現在も、患者末梢血B細胞にEBV DNAは2500コピー/μg DNA存在している。現在、リンデロン、VP-16、シクロスポリンの投与にて、慎重に外来経過観察を行っている。不明熱患者の発熱の原因を検索している際、EBV感染症を認めた。このような際にEBV抗体価、末梢血リンパ球中EBV DNAコピー数を検査することは意義あることであると考えられた。

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© 2006 日本臨床免疫学会
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