日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第35回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 54
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一般演題
BNPが臨床指標となった肺高血圧症合併の皮膚筋炎患者にボセンタンが著効した一例
*河合 麻理萩原 圭祐桑原 裕祐中西 香織有光 潤介平野 亨嶋 良仁緒方 篤田中 敏郎吉崎 和幸川瀬 一郎
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抄録

症例は59歳女性、80年発症の皮膚筋炎、間質性肺炎の患者。UCGにて、推定PA圧が40mmHgであったことより肺高血圧症(PH)疑い精査目的に06年8月4日入院した。BNP59.0pg/mlと軽度上昇がみられるも、S-Gカテーテル検査ではPA 29/14(22) RV 29/-3(-2) RA 0/-1(-3) PCWP 7/3(0)とPHを認めなかった。その結果よりボセンタン投与は見送られるも、その後9月頃より慢性の下痢が悪化し著明な体重減少が見られ、脱水状態であったためIVHを開始したところ右心不全が出現し、BNP 430.1pg/ml、推定PA圧44.4mmHgと上昇した。輸液負荷によるPHの顕在化およびPHによる右心不全と考え、少量のドパミンおよびボセンタンを開始したところBNP 113.2pg/ml、推定PA圧35mmHgと改善を認め、体重も28kgから38kgまで増加、IVH抜去となった。その後ボセンタン内服にて状態は安定し退院、現在BNPは33.5 pg/mlまで改善している。膠原病患者におけるPHの評価は全身状態を考慮し判断する必要があり、BNPは鋭敏にPHを反映する可能性を示す症例と考え報告する。

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© 2007 日本臨床免疫学会
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