主催: 大阪大学保健センター、大学院医学系研究科身体防御健康医学
症例は59歳女性、80年発症の皮膚筋炎、間質性肺炎の患者。UCGにて、推定PA圧が40mmHgであったことより肺高血圧症(PH)疑い精査目的に06年8月4日入院した。BNP59.0pg/mlと軽度上昇がみられるも、S-Gカテーテル検査ではPA 29/14(22) RV 29/-3(-2) RA 0/-1(-3) PCWP 7/3(0)とPHを認めなかった。その結果よりボセンタン投与は見送られるも、その後9月頃より慢性の下痢が悪化し著明な体重減少が見られ、脱水状態であったためIVHを開始したところ右心不全が出現し、BNP 430.1pg/ml、推定PA圧44.4mmHgと上昇した。輸液負荷によるPHの顕在化およびPHによる右心不全と考え、少量のドパミンおよびボセンタンを開始したところBNP 113.2pg/ml、推定PA圧35mmHgと改善を認め、体重も28kgから38kgまで増加、IVH抜去となった。その後ボセンタン内服にて状態は安定し退院、現在BNPは33.5 pg/mlまで改善している。膠原病患者におけるPHの評価は全身状態を考慮し判断する必要があり、BNPは鋭敏にPHを反映する可能性を示す症例と考え報告する。