主催: 大阪大学保健センター、大学院医学系研究科身体防御健康医学
目的:BAFFは主に単球、マクロファージ、樹状細胞、T細胞などに発現しており、細胞の生存や分化増殖に影響を与えることから自己免疫疾患の病態との関連性が注目されている。われわれは健常人およびシェーグレン症候群患者(SS)末梢単球とヒト単球細胞株THP-1を用いてBAFF産生制御機構の解明を試みた。方法:SS患者(4例)および健常人(4例)末梢単球とヒト単球細胞株THP-1をヒトrIFN-γ存在下で刺激培養し、細胞におけるBAFF発現をRT-PCR法を用いて検討した。一方、培養上清中のBAFF、IL-6、TNF-α、IP-10濃度をELISA法により測定した。結果・考察:ヒト末梢単球をrIFN-γ存在下で培養した場合、BAFF発現誘導が認められた。特にSS末梢単球からのBAFF産生誘導は健常人と比較して有意に高値であった。一方THP-1におけるrIFN-γによるBAFF産生誘導は、ヒト末梢単球と同様に認められ、同時にIL-6、TNF-α、IP-10の著しい産生促進が確認された。このTHP-1刺激培養系に抗IL-6抗体、抗TNF-α抗体を加えた場合、BAFF産生抑制効果が認められた。これらの結果から、単球の刺激培養において誘導されたサイトカインがBAFF産生に影響を与えていることが示唆された。また、THP-1は単球のBAFF産生機構のin vitroモデルとして有用であると考えられる。