主催: 大阪大学保健センター、大学院医学系研究科身体防御健康医学
【目的】近年マウス及びヒトにおいて末梢血単球でCD11b+(CD14+)CX3CR1-CD62LHighとCD11b+(CD14+)CX3CR1+CD62Llowの異なる機能を有する2つの単球サブセットが存在することが明らかにされ、我々は全身性エリテマトーデス(SLE)の疾患モデルであるBXSBマウス及びヒトSLE患者において、CD14+CX3CR1+CD62Llow単球サブセットがCD14+CX3CR1-CD62LHighサブセットと比較して有意に増加していることを報告してきた。今回、活動期SLE患者の症例数を増やし解析するとともに、各種リウマチ性疾患患者におけるこれらの単球サブセットの比率を調べ、更に治療によるサブセットの変化を調べることを目的とした。【方法】活動期SLE患者20例及び関節リウマチ患者10例、皮膚筋炎患者2例、混合性結合組織病2例の末梢血について細胞染色しフローサイトメトリーで解析した。【結果】活動期SLE患者では健常者と比較してCD14+CX3CR1+CD62Llow単球サブセットの有意な増加を認めた。関節リウマチ患者においても同様の結果が得られ、特に治療後にこれらのサブセットの変化が認められた。【結論】近年、形質細胞様樹状細胞のみならず、骨髄単球由来樹状細胞が自己免疫疾患の発症に重要であることが示唆されている。SLE及びその他のリウマチ性疾患において、末梢血の単球サブセットの変化を認め、治療によりこれら単球サブセットの変化が認められたことから、SLEのみならず自己免疫疾患の病態形成においてCD14+CX3CR1-CD62LHighとCD14+CX3CR1+CD62Llowの異なる単球サブセットの関与が示唆された。