主催: 大阪大学保健センター、大学院医学系研究科身体防御健康医学
<背景・目的>原発性胆汁性肝硬変(PBC)の進行には、抗gp210抗体陽性の肝不全型進行群と抗セントロメア抗体陽性の非肝不全型進行群があることを昨年の本学会で報告した。今回、日本人PBCの発症および進行に関する免疫遺伝学的背景を明らかにするために、HLA-DRおよびサイトカイン遺伝子の多型解析をおこなった。<対象・方法>国立病院機構肝疾患共同研究グループに登録されているPBC150症例(観察期間:2-289ヶ月:中央値 59)における血清中の抗gp210抗体、抗セントロメア抗体をELISA法により測定した。HLA-DRB1とTNF-α、TGF-β、 IFN-γ、IL-10、IL-6サイトカインの遺伝子多型をそれぞれPCR-RFLP法とPCR sequence primer typing法により解析した。<結果>HLA-DRB1*0803はPBC発症と抗セントロメア抗体陽性の危険因子であった。HLA-DRB1*0405は、抗gp210抗体陽性の危険因子であり、HLA-DRB1*0405キャリアーの中で進行症例は全て抗gp210抗体陽性であった。また、IFN-γ intron +874(T/T + T/A)は、A/Aと比較して抗gp210抗体陽性の危険因子であった。<結語>PBCの発症や進行に、HLAやサイトカインを含めた多くの遺伝子多型が関与していることが示唆された。