日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
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第35回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 111
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一般演題
自己免疫甲状腺疾患の重症度とインターロイキン10遺伝子-592A/C多型との関連
*南波 崇渡邉 幹夫和田 恵赤水 尚史岩谷 良則
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抄録

【目的】橋本病 (HD)とバセドウ病 (GD) において、その重症度や難治性は患者間で大きな差がある。我々は末梢血中のIgG3産生細胞数およびIgG3クラススイッチ因子であるIL-10濃度が難治性GDで増加していることを報告した。IL-10はTh1サイトカインを抑制する一方、B細胞の抗体産生を誘導すると考えられている。そこでIL-10の産生量と関連しているIL-10遺伝子の-592A/C多型とHD重症度及びGD難治性との関連を調べた。
【方法】甲状腺マイクロゾーム抗体陽性者をHDと診断し、甲状腺機能低下症を発症して、甲状腺ホルモン剤補充療法を要する群を重症群(39例)、未治療でも甲状腺機能正常である群を軽症群 (36例)とした。また、甲状腺中毒症の病歴をもち、抗甲状腺剤により寛解導入できたGD群を寛解群 (25例)、できなかった群を難治群 (49例)とした。さらに健常人 (59例)を解析した。
【結果】-592A/C多型のうち、IL-10産生能が高いCC遺伝子型の頻度はHD重症群 (18.0%)で、HD軽症群 (2.8%)より有意に高頻度であった (p=0.037)。また、HD重症群 (41.0%) でC alleleの頻度はHD軽症群 (22.2%)よりも高頻度であった (p = 0.010)。GDの難治性と-592A/C多型の関連はみられなかった。-592A/C多型と甲状腺自己抗体(TRAb、McAb、TgAb)の抗体価との関連もみられなかった。
【結論】IL-10遺伝子-592A/C多型がCC遺伝子型のHDは重症化しやすいと考えられた。

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© 2007 日本臨床免疫学会
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