日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第35回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: S3-3
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シンポジウム3 分子・細胞をターゲットとしたImmunological intervention
T細胞をターゲットとしたImmunological intervention
*針谷 正祥
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抄録

免疫応答の抗原特異性を担うT細胞は自己免疫疾患における重要な治療標的の一つである。T細胞標的治療は、1)T細胞表面分子、2)T細胞シグナル伝達経路、3) T細胞の分化・増殖に関わるサイトカイン、4) T細胞由来サイトカインとその受容体、を標的とする治療に分類される。治療標的となるT細胞表面分子には、T細胞表面マーカー、T細胞受容体、共刺激分子、T細胞増殖に関わるサイトカイン受容体などが含まれる。すでに自己免疫疾患に臨床応用されているT細胞標的治療としては、関節リウマチ(RA)に対するabatacept、RAおよび全身性エリテマトーデスに対するtacrolimusが、また、現在開発中のT細胞標的治療としてはIL-12、IL-15、IL-17に対する抗サイトカイン療法等が挙げられる。abataceptはヒトcytotoxic T-lymphocyte-associated antigen 4 (CTLA4)とヒトIgG1-Fc部分からなる融合蛋白質で、米国および欧州でRA治療薬として既に承認されている。Methotrexate抵抗性活動性RA患者を対象としたAIM試験では、治療開始6ヵ月後のACR20、50、70達成率はabatacept群(placebo群)で68(40)%、40(17)%、20(6.5)%、TNF阻害薬抵抗性RA患者を対象としたATTAIN試験では6ヵ月後のACR20、50、70達成率はabatacept群(placebo群)で50(20)%、20(4)%、10(2)%であり有意な臨床症状の改善効果が示されている。比較的頻度が高い有害事象として感染症、神経症状、消化器症状が報告されている。本シンポジウムではabataceptを中心に自己免疫疾患におけるT細胞標的治療の現状と問題点を議論する。

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© 2007 日本臨床免疫学会
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